犬の腎不全における食事管理〔管理栄養士解説〕

目次:
1、犬の腎不全と腎臓病
2、腎不全の犬の食事管理
3、腎不全の犬の食事管理
4、食欲が低下している場合の対処

犬の腎不全や腎臓病で悩む飼い主さんが多くいますが、犬の腎不全においては血液検査で早期に発見することが難しく、病気に気がついたときには既に食事管理が必要になっているケースが多いのが特徴です。今回は慢性腎不全の食事管理のポイントを中心にご紹介致しますので、愛犬の手作りご飯やドッグフード選びで参考にしてみてください。

なお、ドッグフード選びで悩んでいる方は【腎臓サポートドッグフードの比較】記事で腎臓に問題がある犬のためのドッグフード比較を行っておりますので、ご確認ください。


1、犬の腎不全と腎臓病

腎不全は何かしらの原因で腎機能が低下した状態を意味し、一般的には腎臓機能の70~75%程度が失われた段階で腎不全(高窒素血症)と呼ばれます。腎不全の犬に関しては、通常尿で排出されるべき不要な老廃物が体外に排出されなくなってしまい体の中に蓄積しやすくなります。

それに対して、腎臓病の犬は腎臓自体の病気であり、腎臓病であっても腎臓機能の70~75%以上が失われた状態でない限りは腎不全とは呼びません。そのため、犬の場合は腎不全になると血液検査でBUN(血中尿素窒素)が上昇しますが、腎臓病の犬であっても70%以上の腎臓機能が喪失されないと血液検査結果で発見できないということになります。

最近では、慢性腎臓病の早期発見のために IDEXX SDMAと呼ばれる検査を院内でできる動物病院も増えたので、手作りご飯やドッグフード選びの際は愛犬の腎機能評価のために血液検査(クレアチニンやBUN、リン)と尿検査(尿比重)に合わせて、SDMA検査も行うと尚良いでしょう。

2、腎不全の犬の食事管理

愛犬が腎不全になってしまった場合は、必ず獣医師に相談して腎臓に負担がかかりにくい食事管理を行いましょう。


2-1、まずは獣医師に相談

腎臓病や何かしらの原因によって慢性腎不全が生じている犬の場合、動物病院の治療に合わせて毎日の食事管理が大切になります。市販でも慢性腎臓病の療法食が販売されていますが、はじめは獣医師に療法食について相談して、愛犬の状況にあったものを処方してもらうと安心です。

2-2、腎不全のステージと食事管理

腎不全のステージは一般的に1~4の4つあり、ステージ1の場合であっても食事管理が大切。ステージ2(クレアチニン値が1.4~2.0㎎/dL)からステージ3(クレアチニン値が2.1~5.0㎎/dL)以上の場合(数値が2.0㎎/dL以上になってしまったら)必ず食事管理を徹底しなければいけません。

腎不全の場合、定期的に健康診断を行っていても、一般的な血液検査結果では病気が進行するまで分からないことが殆どですので、発見したときには既に食事管理が必須になるケースが多いのが特徴です。また、ステージ1~2では臨時症状がみられないことが多い(症状があっても徐々に進行する)ので、飼い主さんが病気に気がつくのが遅くなってしまいます。

3、腎不全の犬の食事管理|6つのポイント

3-1、低タンパク質の食事

慢性腎不全の犬の場合は、低タンパク質な食事が基本です。犬がタンパク質を食事で摂取した場合、腎臓はタンパク質に含まれる窒素化合物(老廃物)である尿素をろ過しますが、この過程で起こる腎臓への負担を軽減するためにタンパク質の制限が必要になります。

また、タンパク質に含まれる窒素化合物は慢性腎不全の犬においては尿毒症リスクを高めることから、食事で制限することによって老廃物が体内に蓄積しにくい環境をつくります。すでに尿毒症の犬の場合は、タンパク質を制限することによって嘔吐や下痢症状の軽減に役立つとも考えられています。

当たり前のことですが、制限はするもののタンパク質は慢性腎不全の犬にとっても重要なエネルギー源です。単純に制限するだけでなく、体重の大幅な減少や低アルブミン血症、貧血症状を引き起こさないように良質な動物性タンパク質を使用しているドッグフードを選ぶことが大切です。ちなみに、手作りご飯を与える場合は良質な赤身肉などを使用したり、リンの少ない肉や魚を調べて利用したりするなどの工夫が必要です。

ドッグフードのタンパク質量について考える場合、慢性腎不全であれば14~20%DM(乾物量)が一般的に推奨されていますが、腎機能の低下に応じて食事中のタンパク質の制限値を考えるため、検査結果をもとに獣医師に相談して決めましょう。海外の人気ドッグフードは全体的に食事に含まれるタンパク質量基準が高いので、慢性腎不全の犬については十分注意が必要です。


3-2、脂肪が多めの食事

腎不全の犬の場合、尿毒症性の悪液質によって食事で摂取した栄養素が正常に代謝されなくなることがあります。それに加えて重要なエネルギー源であるタンパク質を食事で制限しなければいけないので、犬の体に十分なエネルギーを補給するために高エネルギー、高脂質の食事を心がけます。

手作りご飯の場合は、タンパク質を制限しながらも脂質の多い肉や魚を使用することをおすすめしますが、いずれにせよ1回の食事量を減らして食事回数を3回以上に変更するなど、内容だけでなく食事の与え方にも配慮する必要があります。

3-3、リンの制限

腎不全の犬用療法食はリンが制限されていますが、これは慢性腎不全の進行を遅らせるためです。リンが多い食事は、腎臓にカルシウム塩が沈着させることから腎不全を進行させる原因になると考えられています。ドッグフードであればリン0.15~0.3 DM(乾物量)の範囲を目安にラベルを確認して選ぶとよいでしょう。

一概に腎臓ケア用ドッグフードといってもリンなどの含有量は異なりますので、ラベルに詳細が明記されていない場合はメーカーに問合せて事前に確認することをおすすめします。手作りご飯の場合は、玄米を中心にリンの多い食材の使用は避けましょう。同じタンパク質量の食材であっても、食材中のリンの量に差が生じるため、手作りご飯でタンパク質源の食材を選ぶときはリンが少ないものを選ぶことをおすすめします。

3-4、ナトリウムの微調整

多くのインターネットで腎不全の犬のナトリウム制限について紹介されていますが、ナトリウムに関しては特に注意が必要です。犬の体の脱水状態や血清Na濃度を検査で確認しながら、都度獣医師に相談して調整することをおすすめします。

ナトリウムを食事で制限するのは、重度の腎不全の犬における高血圧や高カリウム血症の回避などが主な理由ですが、状況によってはナトリウム量を制限しすぎることにより細胞外液量が減少。それによって脱水症状が引き起こされやすくなるので、腎不全の度合いによって都度獣医師にナトリウム制限の必要性や制限レベルなどを確認することをおすすめします。

ただし、いずれにせよ塩分量の多いおやつを犬に与えたり、手作りご飯で塩分量が極端に多い食材を使用したりしないよう注意しましょう。

3-5、オメガ3脂肪酸を取り入れる

オメガ3脂肪酸は健康体の犬であっても食事に取り入れることをおすすめする成分ですが、慢性腎不全の犬の場合は腎臓内の炎症緩和や高血圧軽減のために、EPAやα-リノレン酸が有効です。ドッグフードを与えている場合は犬用サプリメントを活用するのがおすすめ。手作りご飯の場合はサプリメントの代わりに青魚などを取り入れるのも良いでしょう。


3-6、抗酸化物質を取り入れる

抗酸化作用がある食材は、主にβカロテンやビタミンC、ビタミンEなどの成分です。愛犬の手作りご飯で役立つ抗酸化作用が期待できるに関しては、【おすすめ食材(2)】をご確認ください。また、最近のドッグフードは抗酸化作用がある成分を多めに含んでいるものがあります。

サプリメントを使用する際は特定の成分が過剰にならないよう注意しましょう。また、慢性腎不全の犬の場合、抗酸化作用が期待できる食材が腎臓に存在する細胞を保護。腎不全によって生じる症状を軽減するために効果を示すことがあります。

4、腎不全で食欲が低下している場合の対処

慢性腎不全を発症している犬の場合、ガスとリンと呼ばれるホルモンの血中濃度が高まることで胃炎が引き起こされやすく、犬の食欲が低下することが多くあります。慢性腎不全で食欲が安定しない場合は、早めに獣医師に相談して胃酸の分泌を制御するための薬など、何かしらの食欲改善に効果的な薬(治療)について考えるのも一つの選択肢です。

5、まとめ

今回は、腎臓病の犬の食事管理についてご紹介致しました。ドッグフード選びで悩んでいる方は【腎臓サポートドッグフードの比較】記事で腎臓に問題がある犬のためのドッグフード比較を行っておりますのでご確認ください。


参考文献:
・株式会社緑書房,犬と猫の栄養学,奈良なぎさ,2016.
・阿部又信,臨床栄養学―獣医学教育モデル・コア・カリキュラム,インターズー,2015.
・阿部又信,動物看護のための小動物栄養学(改訂版) 日本小動物獣医師会,ファームプレス,2003.
・動物臨床医学研究所 山根義久,イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科,パイインタ-ナショナル,2012.
・田中茂男,犬の医学,時事通信社,2011.


WRITER Profile

記事作成者:  望月 紗貴
飼い主の意識の向上(=犬たちの幸せ)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士、老犬介護士、ペット看護師を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も数多く請け負う。

軟便や下痢になりやすい犬の食事〔管理栄養士解説〕

目次:
1、腸の健康維持の重要性
2、軟便や下痢の原因と対処法
3、軟便や下痢の犬の食事管理のポイント
4、その他に配慮したいこと
5、軟便や下痢の場合の食事管理の注意点

食事管理で犬の腸の健康維持を行うことは、免疫力を維持する(向上する)ために非常に重要なポイントとなり、様々な病気予防に効果的です。今回は、軟便や下痢をしやすい犬の食事管理のポイントについて簡単にご紹介いたします。

1、腸の健康維持の重要性

犬だけでなく人にも同じことがいえますが、病気を引き寄せにくい健康な体づくりをするためには腸の健康維持は食事管理で重要視したいポイントです。先天的(生まれながらの)理由で軟便や下痢を引き起こしやすい犬も多くいますが、犬の体全体の約60%~70%程度(犬によって個体差あり)の免疫細胞が腸管に集中。

そのため、免疫力を維持(向上)して悪性腫瘍やその他の病気が発症しにくい体づくりをするためには、腸の健康維持に配慮することが大切です。その他、愛犬にどんなに良質な食事を与えていても、腸が不健康だと体に必要な栄養素を効率よく吸収することができないので、日々愛犬の便の状態を確認しながら食事管理を行いましょう。



2、軟便や下痢の原因と対処法

犬に多い軟便や下痢ですが、まずは原因を中心にご紹介いたします。愛犬の便の状態が好ましくない場合は、獣医師に相談して適切な検査を受けましょう。

2-1、軟便や下痢とは?

軟便や下痢は、便に含まれる水分量が過剰に上がった状態を指し、何かしらの原因で腸の働きが異常になっていることで犬の便中の水分量が上がります。食事で食べ物を摂取すると犬の腸では体内で食物を移動するために蠕動運動が生じますが、この運動が通常より活発になってしまうと軟便や下痢になります。

また、食事で摂取した水分が上手く体に吸収されずに便として排泄されたり(直腸から正常に水分や電解質の再吸収が行われない)、過剰な水分分泌が腸から生じたとき(直腸内への水分分泌量が増える)などに軟便や下痢が引き起こされます。明確な定義はないものの、ある程度便の形状が保たれていれば「軟便」、液状の便を(水溶性)下痢と呼びます。

2-2、まずは動物病院で検査

犬の軟便や下痢が症状として引き起こされる病気は種類が多く、一概にこの病気であると特定することができません。そのため何より大切なことは、動物病院で適切な検査をして病気が原因であるならば病気の根本的な治療を行うことです。

軟便や下痢が引き起こされやすい病気の一例としては、急性の下痢であれば病原性細菌やウイルス感染症、消化器内の寄生虫など。慢性的な下痢の場合は、腸や胃などの消化器官の腫瘍や慢性特発性腸疾患、食物過敏症(食物アレルギー)、膵炎をはじめとする膵外分泌疾患などが原因として考えられます。

2-3、病気以外の軟便や下痢の原因

しかしながら、犬の軟便や下痢に関しては全ての原因が病気というわけではありません。水分摂取量が適切でなかったり、季節的な温度変化、ストレス、生まれ持った体の性質が原因で軟便や下痢を引き起こしやすい犬もいるので、食事管理だけでなく生活環境の見直しをすることも大切です。

3、軟便や下痢の犬の食事管理のポイント

犬の軟便や下痢に関しては必ず原因に応じた食事管理をしなければいけませんが、ここでは病気が原因でない場合の一般的な体質改善に向けた食事管理のポイントについてご紹介いたします。

3-1、消化しやすい食事か見直す

まずは、現在与えているドッグフードや手作りご飯、食べ物が犬の消化機能に適したものであるか見直すことが大切です。頻繁に犬が軟便や下痢をする場合や食事内容を変更したときに急性の下痢症状が引き起こされた場合は、動物病院でアレルギー検査をすることをおすすめします。

軟便や下痢をしやすい犬の場合は、炭水化物(米類、トウモロコシ、小麦などの穀物)が主原料になっていない食事を与えるのは大前提ですが、タンパク質が主成分であっても食事中の植物性タンパク質が多すぎないかを確認。消化吸収性に優れた動物性たんぱく質を使用した食事を心がける必要があります。

3-2、主原料は良質な動物性たんぱく質

犬は生肉(または加熱肉)の消化を得意とするといわれていますが、これは犬の食生活の歴史的背景だけが理由ではなく、腸の長さが短いため消化吸収に他の動物ほど時間をかけることができないことも理由としてあげられます。そのほかにも歯の構造の違いや唾液腺の違い(アミラーゼの分泌の有無)などの体の構造の違い、必要栄養素の違いなどが理由として考えられます。

犬は狩りをしていた時代から野生動物の胃の内部に残っている草や穀物を栄養源にしていたと考えられていますが、いずれにせよこれらに関しては犬が摂取する食事全体のごく一部。犬の体においては動物性たんぱく質の重要性は否定できません。

また、軟便や下痢を繰り返す犬には、消化器に負担がかからないよう脂肪分の少ない動物肉(牛であればヒレ部分、鶏であればササミや胸部分、鹿肉や馬肉など)を使用するなど、消化吸収しやすい良質な食材に配慮することが大切です。

3-3、適切な食物繊維を食事に含める

犬の食事に関しての動物性たんぱく質の重要性をご紹介いたしましたが、肉だけを与えていれば犬の体に必要な栄養素がすべて補われるというわけではありません。犬に必要な栄養素などの基礎知識に関しては【犬の手作りご飯|量や配分など】をご参照ください。

その中で、軟便や下痢を繰り返す犬の腸の健康維持に大切なのが、適切な食物繊維が食事に含まれているか否かです。普段の食事管理では異なる種類の食物繊維をバランスよく摂取することが大切ではありますが、軟便や下痢を引き起こしている犬の場合、大腸性の下痢か小腸性の下痢かによっても多少異なるものの、不溶性食物繊維は制限。食事には水溶性食物繊維を取り入れます

水溶性食物繊維は、便中の余分な水分を吸収する効果が期待できることから便を固くするために有効です。また、腸内に存在する細菌を吸着して下痢の症状を緩和させる役割も補うと考えられています。

水溶性食物繊維は、キャベツやイモ類などの野菜類(ペクチン)や海藻類(アルギン酸)などに多く含まれており、軟便や下痢のときに犬に与えるのは極力避けたい不溶性食物繊維に関しては、米や小麦などの穀物に多く含まれています。ただし、水溶性食物繊維であっても過剰に与えるのは禁物ですので、食物繊維は食事のバランスを考えて取り入れましょう。

3-4、サプリメントを与える場合

病気が原因でなく慢性的に下痢をする場合は、サプリメントで腸の健康維持を行うのも効果的です。特に老犬の場合、加齢に伴って善玉菌が減少しやすくなるので注意しましょう。

胃腸ケアを目的とした犬用サプリメントでよく使用されている成分は、消化酵素の分泌を促すための「酵素」、善玉菌を増やす(活性化する)ための「乳酸菌」、「酪酸菌」、「納豆菌」、「フラクトオリゴ糖」など。悪玉菌を制御するための「(マンナン)オリゴ糖」などです。

サプリメントの選び方のポイントとしては、胃腸ケア成分が1つに偏らずにバランスよく含まれていること。継続して犬に与えるのであれば化学合成添加物が含まれていないものを選ぶことをおすすめします。

4、その他に配慮したいこと

ここでは、軟便を繰り返す犬の食事内容以外の配慮についてご紹介いたします。繰り返しになりますが、病気が原因で下痢になってしまった場合は必ず獣医師の指示に従ってください。

4-1、食事の与え方

重度の下痢で犬の便中の水分量がとても多い場合、動物病院での薬の処方に合わせて食事の与え方に注意が必要です。獣医師によって判断は異なりますが、一般的には数回(1日)絶食させて様子を見るよう指示がでます。免疫力が低下していない健康体の犬であれば、消化器を刺激しないよう24時間絶食。12時間絶水することがあります。

しかしながら、犬の健康状態によっては一時的であっても絶食や絶水が危険な場合があるので、かかりつけの獣医師の判断に従いましょう。また、絶食後に食事を与える際、ドッグフードであればふやかすなどして消化吸収しやすい形状にした上で一日数回に分けて少量ずつ与える。胃が空の状態ですので、徐々に消化器官に慣らしていきましょう。

4-2、脱水症状に気を付ける

軟便や下痢を生じている場合は、過剰な水分が便として体外に排出されてしまうため脱水症状に気をつける必要があります。子犬や免疫力が極度に低下している犬の場合、短時間で命を奪われることがあるので気をつけましょう。

脱水症状が生じている場合は、動物病院で脱水症状改善のために水分や電解質を体に補充する処置(経口・または非経口の補液を使用)が行われることがあります。その他、基本的に健康体の犬であれば体に必要な水分は自ら摂取しますが、軟便・下痢の犬に限らず新鮮な水は常に飲めるよう環境を整えておきましょう。

4-3、ストレス要因がないか見直す

犬は非常に繊細な生き物ですので、飼い主が気づかないような些細な変化に反応してストレスをため込みます。そのため、病気ではないのに軟便や下痢を繰り返す犬の場合はストレス要因がないかを見直しましょう。

犬のストレス要因になりやすいものは、飼い主との不適切な関係性や居住場所、家族(同居犬含む)を中心とした環境の変化、運動不足や過度な運動などです。日頃から愛犬の仕草や行動の変化をしっかりと観察。早い段階でSOSに気づいてあげることが大切です。

4-4、愛犬の軟便や下痢は早めの対策を

急性的な下痢の場合は、早めに原因を突き止めて対処しないと下痢が習慣化しやすくなります。慢性化すればするほど治りにくくなるので、便の状態は都度細かく確認して早期発見を心がけましょう。

5、軟便や下痢の場合の食事管理の注意点

ここでご紹介させていただいた食事管理のポイントに関しては、病気が原因でないことが前提の内容です。万が一消化器系の疾患がある犬の場合、それぞれの病気に適した食事管理が必要となるので気をつけましょう。一例として、胃炎などが生じている場合は胃の負担を軽減させるために「低脂肪食」を利用。

膵炎の場合は膵外分泌を抑えるために「低たんぱく質・低脂肪」の食事が推奨されることがあります。病気が原因で犬が軟便や下痢をする場合は、必ず獣医師に食事管理においての注意点を確認しておきましょう。その他、一言で犬といってもそれぞれ健康状態や消化吸収能力、適した食事などは異なります。

食事の見直しをする場合は、一般的な見解はあくまで参考として愛犬の便の状態を日々確認。便が安定するまでに長期間かかることがありますが、時間をかけてでも愛犬の健康状態や体に適した食事の見極めをすることが大切です。


参考文献:
阿部又信,臨床栄養学―獣医学教育モデル・コア・カリキュラム,インターズー,2015.
阿部又信,動物看護のための小動物栄養学 改訂版 日本小動物獣医師会,ファームプレス,2003.
動物臨床医学研究所 山根義久,イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科,パイインタ-ナショナル,2012.
田中茂男,犬の医学,時事通信社,2011.


WRITER Profile

記事作成者:  望月 紗貴
飼い主の意識の向上(=犬たちの幸せ)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士、老犬介護士、ペット看護師を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も数多く請け負う。

がんの犬のおすすめ食材(2)〔管理栄養士解説〕

目次:
1、がんの犬に効果的?ファイトケミカル食材
2、ファイトケミカル、スルフォラファン
3、ファイトケミカル、リコピン
4、ファイトケミカル、セサミン
5、ファイトケミカル、アントシアニン
6、食材を使用するときの注意点

前回は、【がんの犬のおすすめ食材(1)】で「動物性タンパク質源となる食材」と「腸内環境の健康維持に役立つ食材」の2つをご紹介致しましたが、今回は「ファイトケミカル」についてご紹介致します。なお、基本的な内容は【がんの犬のための手作りご飯基礎知識】をご参照ください。

1、がんの犬に効果的?ファイトケミカル食材

人間の健康食材として有名なファイトケミカルですが、犬の健康にとっても有効に働く食材が多いといわれています。ファイトケミカルとは、強い免疫力向上を特徴とする植物性の栄養素で「第七の栄養素」とも呼ばれています。

野菜や果物を中心とした食材に多く含まれており、それら食材の香りや色素、辛味成分などが犬の健康維持に有効に働きます。お茶やぶどうをはじめとし一部犬に与えてはいけない食材もありますが、野菜や果物であれば大抵の場合は犬の健康(病気や発がん物質から体を守る)にも効果的です。

ファイトケミカル食材は抗酸化活性や抗炎症効果が期待でき、犬のがんについて考える上では体内の発がん物質を体から排除するための酵素を活性化するためにも効果的です。ここでは、がん予防のために手作りご飯を作っている方におすすめのファイトケミカル食材の一例をご紹介致します。


2、ファイトケミカル、ブロッコリースプラウト(スルフォラファン)

・10kgの犬の場合の目安量/1日15g程度

ブロッコリースプラウトに含まれる「スルフォラファン」と呼ばれる栄養素に抗がん作用があるといわれており、ブロッコリーなど他のアブラナ科の野菜にもこの栄養素が含まれています。ブランドによって差は生じるものの、全般的にブロッコリースプラウトのスルフォラファン含有量は他のアブラナ科の食材と比較すると非常に高いのが特徴です。

スルフォラファンの抗酸化作用や解毒作用に関しては説明を省きますが、がんにおいては特に慢性的に体で生じる炎症を制御してがんを予防したり、がん細胞の死滅や収縮(アポトーシス)を誘導する効果があることから、愛犬の場合はがんの転移防止の目的で手作りご飯に定期的に取り入れていました。

スルフォラファンの効果は一般的に人の場合は3日間程度持続。犬に関しては不明確ではありますが3日に一度は必ず使用していた食材です。その他、基礎的なことですがアブラナ科の食材は甲状腺機能に疾患がある犬の場合は与えないようにしましょう。

3、ファイトケミカル、とまと(リコピン)

・10kgの犬の場合の目安量/1日20g程度

とまとに多く含まれる「リコピン」は、強い抗酸化作用が期待できることから犬の健康維持にも有効な食材です。リコピンには様々な効果が期待できますが、中でも犬の体に不必要な活性酸素除去に役立つ抗酸化力に関してはビタミンEの100倍程度(またはそれ以上)です。


人の場合は様々な体の部位発症におけるがん細胞の成長を制御すると考えられており、とまとにはリコピン以外にもがん予防が期待できる不飽和脂肪酸(α-リノレン酸)も含まれています。リコピンは加熱してもそこまで栄養価が損なわれず体への吸収率が倍以上になるため、私の場合は少し加熱して冷ましてから愛犬の手作りご飯に使用していました。

青い未熟なものにはトマチンと呼ばれる犬にとっての有毒成分が多く含まれているので、しっかりと赤く熟したものを選んで与えるようにしましょう。その他、とまとには体に蓄積しやすい「脂溶性ビタミン」が含まれているので、他の食材との組み合わせに注意が必要です。インターネット上の犬の手作りご飯レシピを見ていると、にんじんを多く使用する方がいますが、β−カロテン当量が8600μg/100g(とまとはβ−カロテン当量540μg/100g)となっており、手作りご飯においては犬のビタミンA過剰症が多く発生していることが問題視されています。

愛犬の手作りご飯をつくる場合は、犬の体に蓄積しやすい脂溶性ビタミン食材を中心に特定の栄養素が過剰(または不足)にならないよう、しっかりとり栄養配分を考慮しながらつくりましょう。

4、ファイトケミカル、ごま(セサミン)

・10kgの犬の場合の目安量/1日小さじ1杯程度

ごまに含まれる「セサミン」はポリフェノールの一種で、抗酸化作用がとても強い成分です。犬の体に不要な過酸化脂質や活性酸素除去効果が期待できることから、がん予防や制御に効果的です。特に黒ごまに関しては、ブルーベリーに含まれるアントシアニンも多く含んでおり、活性酸素の働きを抑えるために役立ちます。

なお、ごまに関しても犬が消化吸収しやすいよう、摩り下ろしてから与えることをおすすめします。その他、ごまには脂肪酸が含まれるため酸化しやすいのが特徴。酸化した食事は犬の健康被害の原因になるので、手作りご飯で与える場合は食事の直前に摩り下ろしてご飯にトッピングすることをおすすめします。


5、ファイトケミカル、しそ(アントシアニン)

・10kgの犬の場合の目安量/1日3g程度

青じそには免疫力向上に役立つビタミンC、活性酸素制御に役立つβカロテン、ペリラアルデハイドなどの殺菌成分が含まれており、赤しそには黒ゴマ同様に「アントシアニン」も含まれていることから、犬のがんの予防や進行制御を目的として手作りご飯で取り入れたい食材の1つです。

また、しそに含まれる香り成分によって犬のストレス緩和にも効果が期待できるといわれていますが、嗅覚の優れた犬にとっては香りが強すぎるので手作りご飯で使用する際は少量にとどめましょう。しそ科の植物に関しては、人の場合はがんの増殖防止や抗がん剤が効きにくくなった細胞に対しての効果などが幅広く研究されています。

6 、食材を使用するときの注意点

全編の【がんの犬のおすすめ食材(1)】でもご紹介させていただきましたが、犬は野菜や穀物などの消化を得意としないため、野菜などの食材はフードプロセッサーなどで細かくして消化吸収しやすい形状にして与えましょう。また、アレルギーなどの観点から、はじめて犬の手作りご飯で使用する食材は少量から試すことをお勧めします。

ファイトケミカルを中心に、どんなにがんの予防や制御に有効とされる食材であっても与えすぎは禁物。犬の手作りご飯を作るときは栄養素の異なる様々な食材をバランスよく取り入れることが大切ですので、欠乏症や過剰症に細心の注意を払いながらバランスを考えて作ってあげましょう。

その他、犬のがんの発症部位や体の状況により食事管理ポイントが異なる場合があります。がんを発症している(治療中)の犬の場合は、獣医師に食事管理で気をつけたいことに関して予め相談しておくと良いでしょう。


【犬の手作りご飯|量や配分など】

※本記事の栄養成分値は文部科学省「食品成分データベース」を参考に算出。生の状態での食材成分値を記載しております


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記事作成者:  望月 紗貴
飼い主の意識の向上(=犬たちの幸せ)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士、老犬介護士、ペット看護師を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も数多く請け負う。

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がんの犬のおすすめ食材(1)〔管理栄養士解説〕

目次:
1、動物性タンパク質源となる食材
2、腸内環境の健康維持に役立つ食材
3、食材を使用するときの注意点

犬のがんの食事の関係性や食事管理のポイントに関しては、【がんの犬のための手作りご飯や食事〔獣医師監修〕】でご紹介致しましたが、ここでは「動物性タンパク質源となる食材」と「腸内環境の健康維持に役立つ食材」の2つをご紹介させていただきます。がんを発症している犬に限りませんが、犬の手作りご飯では食材の栄養素の配分に気をつけて、豊富な食材を利用。愛情と栄養たっぷりの手作りご飯をつくってあげましょう。

【犬の手作りご飯|量や配分など】

1、動物性タンパク質源となる食材

がんの犬の場合は炭水化物(糖質)を極力制限して、代わりに体のエネルギー源となる良質な動物性タンパク質を豊富に使用することで免疫力を維持(強化)します。ここでは、がんの犬の手作りご飯におすすめの動物性タンパク質源の一例をご紹介致します。

1-1、鹿肉(タンパク質値目安:23.9g/100g)

鹿肉は栄養価が高い上、他の動物肉と比較すると低カロリー・低脂肪。野生で育つ草食動物なので、栄養価が高いのも魅力の1つです。含まれている栄養素としては、タンパク質、ビタミンB群、ミネラルなどに加えて、肉では珍しいDHA(ドコサヘキサエン酸)も含まれています。

体内の活性酸素の除去が期待でき、体を温める食材なので冷えによる免疫力低下予防にも効果的。犬の手作りご飯では積極的に取り入れたい動物性タンパク質ですが、がん細胞と闘う犬や抗がん剤による副作用で免疫力が低下しやすい犬には尚おすすめです。

1-2、ラム肉(タンパク質値目安:20.0g/100g)

ラム肉などの羊肉は、肉の中で一番体を温める効果が高い食材です。体の冷えからくる免疫力低下を防止するために有効。含まれる栄養素としては、タンパク質、ビタミンA・B群・カルニチンや鉄分などです。ラム肉に含まれている必須アミノ酸はバランスが非常に良いのが特徴。

低カロリー・低コレステロールで脂肪燃焼促進効果が期待できることから、がんで免疫力を高めたい犬だけでなく、ダイエット中の犬にもおすすめです。ただし、抗がん剤など何かしらの理由で食欲低下が引き起こされている場合(エネルギー源が不足している場合)は、手作りご飯ではカロリーが高い肉を使用することをおすすめします。

1-3、鮭(タンパク質値目安:20.1g/100g)

鮭の特徴は、アスタキサンチンと呼ばれる抗酸化力の高い成分が含まれていることで、体内の活性酸素の発生を制御する成分です。抗酸化作用のある栄養素としてビタミンCが有名ですが、アスタキサンチンに関しては約6000倍の抗酸化力が期待できるといわれています。

がんによって放射線治療を行っている犬の場合は、特に活性酸素が生じやすくなるという報告があるので、手作りご飯では取り入れたい食材です。ただし、鮭にはチアミナーゼと呼ばれるビタミンB1を分解する酵素が含まれているので、継続的に多く与えてしまうと「ビタミンB1欠乏症」のリスクが高まります。

犬の手作りご飯では、常用せずに数日に一度与えるなど頻度を工夫すると良いでしょう。その他、人が食べるために塩分を加えた鮭は使用せず、刺身用の味付けされていないサーモンなどを使用しましょう。

1-4、動物性タンパク質源となる食材|使用例

参考までに、愛犬バーニーズマウンテンドッグの場合、基本的には動物性タンパク質は以下のようなローテーションを組んでいました(週によって多少変動あり)。鹿肉をベースとし、夏は体を冷やす効果が期待できる馬肉を使用するなど、季節によって食材を使い分けるのも犬の健康維持には効果的です。

月 ・朝 鹿生肉(ロース) ・晩 加熱サーモン&卵
火 ・朝 鹿生肉(モモ)  ・晩 ラム加熱肉
水 ・朝 鹿生肉(ロース) ・晩 加熱鶏むね肉
木 ・朝 鹿生肉(モモ)  ・晩 加熱サーモン&卵
金 ・朝 鹿生肉(ロース) ・晩 加熱豚肉
土 ・朝 鹿生肉(モモ)  ・晩 ラム加熱肉
日 ・朝 鹿生肉(ロース) ・晩 その他の肉&魚

2、腸内環境の健康維持に役立つ食材

犬によって個体差がありますが、体全体の60%~70%程度の免疫細胞が腸(腸管)に集中しているといわれていますので、腸の健康維持は免疫力を維持(強化)するために大切です。ここではがんの犬の手作りご飯におすすめの腸内環境の健康維持に役立つ食材の一例をご紹介致します。

2-1、ヨーグルト(タンパク質値目安:3.6g/100g)

腸の健康維持を目的として人でも食べている方が多いヨーグルトですが、犬の場合も乳酸菌によって整腸効果が期待できます。腸内にあるビフィズス菌を活性化することで悪玉菌を制御。腸内の免疫細胞を活性化する効果が期待できるので、免疫力が低下しやすいがんの犬や便の状態が安定しない(下痢や便秘)犬には特におすすめです。

ただし、与えすぎは腸内環境の健康を害すので量には気をつけましょう。参考までに愛犬バーニーズマウンテンドッグ(42kg)の場合は、手作りご飯1食で(無糖ヨーグルト)大さじ3杯程度を週に数回与えていました。おやつとして与えるのも良いでしょう。

2-2、ゴボウ(タンパク質値目安:1.8g/100g)

ゴボウは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が豊富で、腸内細菌の環境改善(ビフィズス菌の成長を促す)に有効なイヌリン(不溶性食物繊維)と呼ばれる成分が含まれています。イヌリンは腸内の胆汁酸を吸着して体外に排出。腸の蠕動運動を活発にさせたり犬の体に不要な物質を排泄させるために効果を示します。

その他ごぼうに含まれる酵素であるペルオキシダーゼが活性酸素除去(無毒化)に効果的なため、がんを発症している犬の手作りご飯には適度に取り入れたい食材です。ごぼうは消化しにくいため、必ず加熱後にすりおろし器やフードプロセッサーなどで細かくしてから与えましょう。参考までに愛犬バーニーズマウンテンドッグ(42kg)の場合は、手作りご飯1食で70gを週に3回程度与えていました。

2-3、挽きわり納豆(タンパク質値目安:16.6g/100g)

犬の腸内環境の健康維持に効果的な食材の1つである納豆には、悪玉菌の増殖を制御するために役立つ納豆菌が多く含まれており優れた整腸作用が期待できます。納豆菌は、腸内の腐敗菌の増加制御の他、腸内で善玉菌として働くことで腸内に存在する善玉菌の増殖を更に促す効果が期待できます。

ただし、我が家の愛犬のように胃拡張・胃捻転症候群になりやすい犬には注意が必要。一度に粘り気のある食材をたくさん与えてしまうのは危険ですので、大型犬は特に一度に与える量を少量にとどめましょう。胃拡張・胃捻転症候群リスクもさることながら、炭水化物も含まれている(10.5g/100g)ので、愛犬の場合は1食で50gを週に2回程度を目安に与えていました。

2-4、腸内環境の健康維持に役立つ食材|使用例

愛犬の場合はがん発症以前(子犬期)から下痢を引き起こしやすい体質であり、腸内環境の健康維持には特に注意していました。ドッグフードを変えても改善しなかった長年にわたる定期的な下痢症状でしたが、手作りご飯に変更することで改善。便の状態が4才前にようやく安定しました。以下に愛犬の腸内環境の健康維持のために使用していた食材の一例をご紹介致します。

・ヨーグルト ・ゴボウ ・挽きわり納豆 ・キャベツ ・オクラ ・長いも 
・オリーブオイル ・昆布(出汁) ・消化吸収しやすい鹿生肉や魚類 など

3、食材を使用するときの注意点

犬は野菜や穀物などの消化を得意としないため、肉や魚以外は消化しやすいよう細かくして与えましょう。また、生肉に慣れていない犬の場合、徐々に生食に慣らしていかないと下痢や嘔吐などの消化器系症状を引き起こす原因になります。

その他、どんなに優秀な食材であっても与えすぎは禁物。犬の手作りご飯を作るときは栄養素の異なる多様な食材をバランスよく与えることが大切です。それぞれの栄養素の欠乏症や過剰症に気をつけて、量や配分をしっかりと考えて手作りご飯を作ってあげましょう。

愛犬の手作りご飯を初めて作る方は、【犬の手作りご飯|量や配分など】もご確認ください。なお、犬のがんの進行状況や発症部位などによって適した栄養素が異なる場合があります。がんを発症している(治療中)場合は、必ず獣医師に食事管理について相談しましょう。

※本記事の栄養成分値は文部科学省「食品成分データベース」を参考に算出。生の状態での食材成分値となっております


WRITER Profile

記事作成者:  望月 紗貴
犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士、老犬介護士、ペット看護師を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も数多く請け負う。

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がんの犬のための手作りご飯や食事〔獣医師監修〕

目次: 
1、がんと食事
2、がんの犬を支える食事管理
3、がんの犬を支える食事管理の注意点
4、食欲がない犬のための薬

愛犬のがん告知はあまりに精神的打撃が強く、どうしても飼い主は精神的に不安定になってしまいます。私も愛犬が若くしてがんを発症したことから約3年の間、毎日のようにこの言葉と向き合ってきました。一度目の発症が血管肉腫というがんで、愛犬のバーニーズマウンテンドッグはまだ僅か3才半。

それを機に、愛犬のがんが転移しないよう自分に何ができるのか考えた結果が、QOLの向上に努めるためサポートすること。その中で、手作りご飯で食事管理をすることには特に重点をおきました。今回は、愛犬のがんから学んだ食事管理について簡単にご紹介致します。

【愛犬のがん闘病生活ブログ】

1、がんと食事

1-1、愛犬のがんと手作りご飯

犬のがんが食事で治るかといったら、残念ながらそんなことはありません。
愛犬の場合、一度目の血管肉腫は抗がん剤を使用せず、最終的には完治という嬉しい結果でした。しかし、悪性腫瘍の摘出手術で完全に悪いものを取り除いた上での食事管理でした。

2度目の組織球性肉腫に関しては、やはり抗がん剤は利用せずに1年9ヶ月転移せずに済みましたが、この時も肺の腫瘍を(余裕をもって)大きめに摘出するために手術を行った上での食事管理。定期的な健康診断を行って早期発見・早期治療を行ったことが功を奏したのでしょう。

そして、2回目のがん摘出手術後1年9ヶ月経過し、残念ながら再び組織球性肉腫が全身に、今度は一気に発生してしまいました。しかしながら、悪性度の非常に高い組織球性肉腫が術後、抗がん剤を使用せずにここまで転移・再発しなかったこと。

若くして発症した血管肉腫が抗がん剤を使用せずに転移しなかったことは、もしかすると手作りご飯で食事管理を徹底していたことが理由の1つだったのかもしれません。

1-2、食事管理の大切さ

食というものは、手術や抗がん剤治療、放射線治療などの西洋医学ほどの力は持っていません。しかし、犬の口から直接体内に入り込み体をつくる重要な要素・エネルギー源となるため、愛犬の健康維持を考える上で食事管理は必ず配慮しなければいけないものです。

犬のがんの場合、残念ながら現状では抗腫瘍効果をもつドッグフードは販売されていません。しかしながら、食事はがんに直接的に働きかけることはできなくとも、間接的にがんが進行しにくい・がんが再発しにくい体づくりをすることは可能です。

悪性腫瘍の原因は大きく「内因」と「外因」に分けられますが、このがんの原因となる外因のうちの1つとして食べものや食事に含まれる添加物が挙げられます。こういった背景から、犬のがんと食事の関係性を完全に否定することはできないのです。

2、がんの犬を支える食事管理

2-1、炭水化物の制限がされた食事

がんの進行制御に関する確実な効果が証明されているわけではありませんが、一般的にがんを発症している犬には低炭水化物の食事が推奨されています。炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称を意味しますが、糖質が多い食べものはがんの進行を応援してしまう(がん細胞の栄養的役割を補う)可能性がある考えられています。

そのため、極力犬の手作りご飯やドッグフードでは制限したい栄養素です。私の場合は、愛犬の手作りご飯では小麦やトウモロコシはもちろん、米類も使用していませんでした。炭水化物を制限することで体のエネルギー源が不足しないよう、消化吸収性の良い良質な肉や魚などの動物性タンパク質を豊富に使用。

愛犬の場合は亡くなる1カ月前までは運動量も多かったので、運動量に見合ったエネルギー源を供給するよう工夫していました。その他、炭水化物は犬ががんの場合、代謝異常を最も引き起こしやすい栄養素と考えられているため、極力避けるよう工夫が必要です。

2-2、免疫力の高まる食事

免疫力とは、犬の健康に被害を与える危険性のある細胞や細菌、ウイルスなどと闘うために必要な体の防衛機能で、抗がん剤を利用している犬の場合は、特に免疫力が低下しやすいので食事への配慮が大切になります。

抗がん剤を利用していなくとも、がんを発症している場合は体内のがん細胞が増えないよう、特に体の免疫力を整えておかなければいけません。免疫力を整える・強化するためには十分な睡眠・(可能な場合は)適度な運動、ストレスフリーの生活をさせることが大前提ですが、それらに合わせて食事管理を行うことが大切です。

抗酸化作用の高いファイトケミカルが含まれる食べものを手作りご飯で使用したりすることも大切ですが、何より犬の腸内環境の健康維持に役立つ食事を心がけるのがポイントです。腸には免疫細胞が多く集中しており、犬の場合個体差や年齢による差はあるものの一般的に体全体の60%~70%程度の免疫細胞が腸(腸管)に集中しているといわれています。

そのため、私の場合、手作りご飯では消化しにくい炭水化物を殆ど使用せず、良質な鹿や馬肉、サーモンなど使用。それに加えて、ひきわり納豆やヨーグルトなどの発酵食品、適度な食物繊維(水溶性)を取り入れるなどして、便の状態を日々確認しながら手作りご飯による食事管理を行っていました。

2-3、活性酸素をためない食事

活性酸素は、犬の体に入った酸素の一部が他の物質と結びつくことで酸化力のある物質に変化。これが細胞に結びつくことで老化促進やがん細胞の増加を促進する原因になります。この活性酸素を除去するために役立つのが抗酸化作用のある食べもので、人参に多く含まれるβカロテンやブロッコリースプラウトなどに含まれるスルフォラファンなどが一例として挙げられます。

ただし、βカロテンはビタミンAに変換されますが、脂溶性ビタミン全般を中心にどんな食事でも与えすぎは過剰症リスクを高めるので、極端に多く与えないことが大切です。また、放射線治療を行っている犬の場合、特に活性酸素が生じやすくなるという話も耳にしますので、適切な水分摂取を心がけ体に不必要なものをため込まない食事管理を行うことが大切です。

2-4、体を冷やさない食事

体を冷やさない食事に関しては、直接的に犬のがんの進行を左右するというわけではありませんが、体を冷やすことで免疫力の低下を引き起こしやすいので気をつけましょう。特にがんを発症する犬の多くが老犬であり、運動不足により体が冷えやすい状態になっていることがあります。

旬の食材は栄養価が高く、犬の手作りご飯で取り入れる方が多いのですが、冷房を利用している場合は体を冷やしやすいトマトやキュウリなど夏の野菜にも配慮が必要です。犬の場合、一般的には人と比較して寒さに強いといわれていますが、特に腸の冷えには細心の注意が必要です。

2-5、良質な食事を心がける

当たり前のことではありますが、健康体の犬であってもがんを発症している犬であっても化学合成添加物や酸化した食事は健康被害を引き起こす原因になります。全ての添加物ではありませんが、化学合成添加物の多くは長期継続利用することで発がん性リスクが高まるものが多く、酸化した食事は嘔吐下痢などの消化器系症状に。

それだけでなく、活性酸素を発生させて健康な細胞の増殖を妨害する原因になります。手作りご飯の場合は、栄養バランスへの配慮はもちろん使用する食材の鮮度にも気をつけなければいけません。

【犬の手作りご飯|量や配分など】

3、がんの犬を支える食事管理の注意点

がんの犬を支える食事管理に関してご説明しましたが、これらはあくまで基本的なことであり、がんの種類や状況、また犬の状態によって食事管理で優先させなければいけないポイントは変わります。

例えば食欲が低下している犬の場合、何より嗜好性の高まる食事で食欲を上げることが第一前提になることもありますし、がん以外に併発している病気があれば他の病気への配慮も必要。

消化管腫瘍がある犬の場合、脂肪分を減らした食事に切り替えることもありますし、腫瘍によって発熱している犬の場合は、食事で体の内部を温めないよう工夫した方が良いケースもあります。

食事管理をする上では、何より現状犬の体で何が起こっているのかを把握することが大切ですので、都度食事で重要視すべきことを獣医師に確認しながら工夫することが大切です。

4、食欲がない犬のための薬

少し前まではがんを中心に、病気によって食欲がない犬のための食欲改善効果が期待できる薬がなく、犬の食欲を改善したい場合、ステロイドを中心に何かしらの他の目的で使用する「薬の副作用」として食欲改善を見込むことしかできませんでした。

しかしながら、数年前にアメリカで食欲増進剤(ENTYCE/ エンタイス)が販売され、日本でも取り入れている動物病院があるようです。薬の使用に関しては獣医師の判断や飼い主の意向が大きく関わってきますが、犬の場合も末期になると食欲が完全になくなってしまうこともあるので、がんと闘う犬を支える飼い主の選択肢が一つ増えたと考えることができます。

【がんの緩和ケアの必要性や方法】

【がん|緩和ケアに使われる薬】

【犬のがん|愛犬のために飼い主ができること】


記事監修者:  (獣医師)西原 克明

動物病院の院長を務めながら、様々なペット関連業界で活躍。腫瘍外科や椎間板ヘルニアを中心に「特殊外科」の執刀を得意とし、腸内細菌や口腔内細菌の研究を行い予防医療にも注力している。


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一般社団法人愛玩動物健康管理協会 代表理事。『飼い主の意識の向上が愛犬の豊かな生活を導く』を理念とし、sCH Dog Centerのブログ専用サイトを開設。犬の管理栄養士、救命士、介護士など、ペット関連資格を多数保有。様々な企業のドッグフード開発やサプリメント開発、ペット用品の監修、ペット用品の開発コンサルタントを行う。

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老犬の食事|切り替えるタイミングや注意点〔管理栄養士監修〕

目次:
1、何歳から老犬の食事に切り替える?
2、老犬の食事で注意したいこと
3、腎臓病(腎不全)の老犬の食事
4、それぞれの老犬に適した食事を!

老犬の食事に切り替えるタイミングについては、悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか?
最近では老犬用の市販のドッグフードの種類も増えましたが、老犬用ドッグフードに「7才~」というように年齢が表記されているものを多く見かけ大変危険だと感じております。一概に老犬と言っても健康状態や運動量低下の有無は犬によって異なり、ましてや老犬年齢さえも犬によって大きく差が生じます。

今回は、老犬の食事に切り替えるタイミングや注意したいことを中心にご紹介致します。

1、老犬の食事に切り替えるタイミング

1-1、7才から老犬の食事に切り替える?

老犬と一言でいっても犬種によって老犬期が始まるライフステージは異なり、たとえ同じ犬種であっても生活環境や遺伝子的な背景から多かれ少なかれ個体差が生じるのが特徴です。基本的に犬は10才~(大型犬は8才~)が老犬であると考えられていますが、ペットフード業界では老犬用のドッグフードを「7才以上」と表記することも多くあります。

専門家によっても老犬年齢は見解が異なり、老犬になる年齢に関して個体差が大きい犬にとってはその定義はあまりに曖昧。そのため、老犬の食事に切り替えるタイミングは犬によって大きな差が生じます。

1-2、犬種平均寿命の75%を目安

老犬の食事について考えるときに、犬種別の平均寿命を調べてその年齢の75%を老犬年齢の目安にするという方法もあります。この場合も、愛犬の運動量が変わっておらず老犬特有の病気などの発症も見られない場合、大幅に食事内容を変更する必要はありません。しかし、関節の健康維持を中心に老化予防のために(※1)機能性成分を食事に取り入れる際、この老犬目安年齢は大いに役立ちます。

愛犬の老化予防を考えている飼い主さんは、犬種別の平均年齢から老犬年齢目安を割り出して、愛犬に老化症状がみられる前に対策を行うと良いでしょう。

(※1)機能性成分|基本的には犬の生命活動に必須ではないが、健康維持を目的とした機能的効果が期待される成分

【犬の食事管理の記事一覧】

1-3、愛犬の様子を見て切り替える

老犬の食事に変更するタイミングは、愛犬の様子を見ながら考慮するのが一番です。ときどき7才を超えた頃から老犬用の低カロリードッグフード・低タンパク質ドッグフードに切り替える飼い主さんを見かけますが、運動量に変化が見られない老犬にこのようなドッグフードを与えるのは危険です。

愛犬に老化のサインが見られたら老犬用のドッグフードや手作りご飯に切り替えましょう。

1-4、こんな変化が見られたら?

運動量の低下をはじめとし老衰症状が見られる・老犬に多い病気を発症するなどの変化がある場合は、老犬用の食事に切り替えましょう。

老化症状はゆっくりと進行するものも多く、飼い主さんが愛犬の変化や病気の兆候に気づきにくいので注意が必要です。また、病気の発症によってドライフードや手作りご飯などの食事を変更する場合、獣医師に相談してから愛犬に適した食事に切り替える必要があります。

・老化症状|睡眠時間が増える 運動量が低下する 食欲が低下する 食べても痩せる 白い被毛が増える 呼びかけに反応しない 口臭が目立つ 爪の伸びが速い 夜泣き 昼夜逆転 多飲多尿など
・老犬に多い病気|四肢・関節の病気 認知症 腎不全 すい臓炎 糖尿病 白内障 悪性腫瘍など

2、老犬の食事で注意したいこと

2-1、エネルギー量に注意する

運動量が低下している老犬の場合は基礎代謝が同時に低下します。そのことから、体に必要なエネルギー量(エネルギー要求量)が適切な運動をしていた成犬期と比較するとおおよそ20~30%程度減少するといわれています。この数値は老犬の状態によって多少異なりますが、いずれにせよ運動量が低下している犬の場合は過度なエネルギーを食事に含めないよう注意が必要です。

エネルギーを供給するための栄養素としては、炭水化物、脂肪、蛋白質の3つですが、老犬の食事に切り替える場合はこれら3つのうち、炭水化物と脂肪が調整されたものを選ぶと良いでしょう。

2-2、炭水化物の少ない食事

エネルギー量に配慮された老犬の食事に切り替える場合、単純にカロリーが低いものを選ぶのではなく、炭水化物の含有量が少ないものを選びましょう。手作り食の場合は、同じエネルギー量であるならば米類やイモ類などを使用せず、代わりに犬の消化能力に適した動物性タンパク質を与えることをおすすめします。

炭水化物に関しては犬の体への必要性が議論されることもありますが、エネルギー要求量が低下している犬の場合は極力炭水化物を使用していない(含有量が少ない)ドッグフードを選びましょう。犬のライフステージに関係なく、炭水化物の多い食事は犬の消化器官に負担をかけやすく肥満の原因にもなり得ます。

2-3、タンパク質は老犬にも大切

多くの老犬用ドッグフードで、動物性タンパク質量を大幅に減らしているのを見かけますが、運動量が低下した老犬であっても動物性タンパク質は重要な栄養素です。タンパク質はアミノ酸が多数結合した化合物で、犬の臓器や筋肉を中心に体を構成する上で大切です。

中でもアミノ酸は犬の骨格筋を形成するために重要な栄養素で、関節をまたぎ骨格につくことで体を支えたりしています。老犬の場合、運動量低下によって肢・関節の力が弱くなる傾向にあるため、適切な動物性タンパク質で骨格筋の消失を防ぐ必要があります。その他、アミノ酸は病気と闘う上でも大きな役割を果たします。免疫力が低下しやすい・老衰によって病気を発症しやすい老犬だからこそ、適切・良質な動物性タンパク質を食事に含めましょう。

2-4、消化吸収性に優れた食事

免疫力の向上を目的とし、老犬は特に消化吸収性に優れた食事に配慮する必要があります。犬の腸には免疫細胞が多数集まっており、腸を健康に維持するということは免疫力を上げるために役立ちます。老犬は免疫力低下によって病気と闘う力・対抗する力が衰えやすいので、ドライフードであれば腸内環境の健康維持に役立つ成分が含まれているものや良質な動物性タンパク質が豊富に含まれているものを選びましょう。

手作りご飯を与えている場合は、適度な食物繊維に加えて良質な生肉や魚を使用するなど消化吸収性に優れた食材を取り入れる必要があります。ヤギミルクやヨーグルトを少量活用するのも良いでしょう。

2-5、老犬の食事には機能性成分を追加

老犬の場合は、食事にサプリメントを始めとした機能性成分を追加することをおすすめします。犬も人間同様に老衰によって体の様々な機能に衰えが生じ、病気も発症しやすくなります。犬種ごと発症しやすい病気や体の構造上かかりやすい病気などに配慮して、サプリメントを活用するなど機能性成分を老犬の食事に取り入れることをおすすめします。

我が家の愛犬の場合(ゴールデンレトリバー6才4ヶ月)、股関節形成不全や悪性腫瘍が心配ですので股関節の健康維持に役立つサプリメントを活用。食事には免疫力を維持・向上するためのキノコ類(βグルカン)やブロッコリースプラウトなどを取り入れるようにしています。

3、腎臓病(腎不全)の老犬の食事

老犬の食事に動物性タンパク質が重要であると説明しましたが、腎臓病を発症している老犬や腎臓の機能低下(腎不全)がみられる老犬の場合はタンパク質の制限が必要です。腎臓病の犬用療法食ではタンパク質がカットされており、(※2)AAFCOの成犬に必要なタンパク質量を参考に考えると、腎臓の機能低下がみられる場合の療法食(制限食)としてはタンパク質量14~15%(※3)DMが目安です。
ちなみにAAFCOでは老犬に対する栄養基準を設定していませんが、一般的には腎臓に問題がない老犬の総合栄誉食基準としてはタンパク質19~22%DMを目安にすると良いでしょう。

老犬の場合は慢性の腎臓病が非常に多く、腎臓に負担がかかりにくい低タンパク質でナトリウムとリンが制限された療法食がおすすめです。手作りご飯のタンパク質源としては、新鮮な卵や赤身などの良質なものを選ぶと良いでしょう。その他、腎臓に問題がある犬に関しては、事前に獣医師に食事管理について相談して定期的に検査。検査結果をもとに健康状態を確認しながら食事内容を調整するのが一番です。

(※2)AAFCO(米国飼料検査官協会)|ペットフードの栄養基準・ラベル表示基準を制定している団体
(※3)DM|乾物量(栄養濃度を比較する上で乾燥させて水を除いた後の値)

4、それぞれの老犬に適した食事を!

今回は老犬の食事について、切り替えるタイミングや食事のポイント、腎臓に問題が生じている老犬の食事についてご紹介致しましたが、一言で老犬といっても適した食事は犬によって異なります。

老犬の食事管理で一番大切なことは、年齢や犬種、ドッグフードの品質を基準に食事を選ぶのではなく、その犬に適した食事であるか否かです。愛犬の体に合った高品質なドッグフードを与えることができるのが理想ではありますが、その前に定期的な健康診断や獣医師のアドバイスをもとに愛犬の体の状態をしっかりと把握。その犬に合った食事がどのようなものかを考えたうえでドッグフードを選びましょう。

【犬の食事管理の記事一覧】

参考文献:
日本小動物獣医師会,動物看護のための小動物栄養学,2006.
株式会社緑書房,犬と猫の栄養学,奈良なぎさ,2016.
パイインタ-ナショナル,イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科,動物臨床医学研究所,2012.
株式会社矢沢事務所,もっともくわしいイヌの病気百科,学研プラス,2005.
老犬介護士育成専門講座教材,一般社団法人日本キャリア教育技能検定協会 学校法人つくば国際ペット専門学校

食事管理に関しての記事一覧↓

https://true-dog-lover.com/health-care-of-dogs/dietary-management/


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