皮膚の弱い犬の食事管理&ドッグフードの選び方

近年、犬のアレルギーが増えているといわれ、アレルギー性皮膚炎を中心に皮膚の弱い犬のドッグフード選びで悩む飼い主さんが多くいます。今回は、皮膚の弱い犬の食事管理法(ドッグフードの選び方)&おすすめのドッグフードを中心にご紹介致します。


皮膚の役割と食事管理の重要性

皮膚は主に、犬の体温を調整したり、内臓を守ったりするために、必要不可欠な臓器です。その他、外部から加わる刺激や細菌、ウイルスなどから体を守ったり、体内に存在する水分が無くならないようにするためなど、多くの働きを持ちます。そのため、皮膚はかなりの頻度で機能(代謝)し続けています。

このように、皮膚では絶え間なく栄養素が合成&分解されているため、食事に含まれるたんぱく質や脂肪、ビタミン類を始めとした栄養素がバランスよく含まれていないと、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症するなど、皮膚の健康維持が困難になります。

その他、十分な栄養が食事に含まれている場合であっても、何かしらの病気や老衰によって代謝異常が犬の体で生じている場合、皮膚への影響が出やすいため注意が必要です。


皮膚の弱い犬のドッグフード選びで重要なこと

ここでは、皮膚の弱い犬のドッグフードを選ぶ際に気をつけたいポイントをご紹介致します。

栄養バランスの整ったドッグフードを選ぶ

  • 総合栄養食表記のあるドッグフードを選ぶ

皮膚が弱い犬は、AAFCO(ペットフードの栄養基準などの基準を設定している団体)の栄養基準を満たしている総合栄養食表記のあるドッグフードを選ぶことをおすすめします。

その他、病気によって皮膚に問題が生じている犬の場合は、動物病院で適切な治療を受けて獣医師に食事管理について相談しましょう。

たんぱく質の内容や質に注意してドッグフードを選ぶ

  • 皮膚が弱い犬は、含硫アミノ酸が多く含まれるドッグフードを選ぶ
  • コラーゲンの原料となる「アルギニン」などのアミノ酸が多く含まれたドッグフードを選ぶ
  • 必要に応じて、コラーゲンが含まれているサプリメントを使用する

アミノ酸を犬の体に補給するために必要な「たんぱく質」の役割の一つは、皮膚のバリア機能を高めることです。

そのため、皮膚の弱い犬やアトピー性皮膚炎などの問題が生じている犬に関しては、皮膚の構成成分となる「含硫アミノ酸(メチオニンやシスチンなどのアミノ酸)」と呼ばれるたんぱく質が多く含まれるドッグフードを選ぶと良いでしょう。

メチオニンやシスチンなどの詳細に関しては、【犬に必要なたんぱく質と食材】をご確認ください。

その他、表皮の内側に存在する「真皮」にはコラーゲンが多く含まれていますが、このコラーゲンの原料となるアルギニンやシステイン、プロリンなどのアミノ酸が多く含まれたドッグフードを選ぶことも大切です。

ドッグフードに含まれていない場合は、サプリメントで補給。ラベルに表記されていない場合は、ドッグフードメーカーに問い合わせてみるのも良いでしょう。


機能性成分が含まれているドッグフードを選ぶ

  1. 皮膚が弱く炎症が生じている犬のドッグフードを選ぶ場合
    「オメガ3脂肪酸(1):オメガ6脂肪酸(5)」配合のドッグフード
  2. アトピー性皮膚炎緩和のためのドッグフードを選ぶ場合
    「オメガ3脂肪酸(1):オメガ6脂肪酸(1~2)」配合のドッグフード
  3. 真皮の構成成分となるコラーゲンが含まれたドッグフード

皮膚の弱い犬のドッグフード選びで重要となる機能性成分は、主に「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」です。

犬の場合、これら脂肪酸を体内で合成できないため、食事で摂取する必要があります。犬においては脂肪酸のうち、「aリノレン酸(オメガ3脂肪酸に属す)」と「リノール酸(オメガ6脂肪酸に属す)」は必須になります。

これら栄養素が不足してしまうと、表皮の最表面に存在する角層のバリア機能が低下してしまうという報告もあり、犬のアトピー性においては、特にリノール酸が低下することで皮膚のバリア機能が著しく低下する傾向にあります。

なお、皮膚が弱い犬で既に皮膚に炎症が生じている場合は、ドッグフードに含まれるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の含有比率にも注意が必要。

この理想比率に関しては専門家によって見解が異なるものの、「オメガ3脂肪酸(1):オメガ6脂肪酸(5)」が炎症の緩和には効果的だと考えられています。

また、犬がアトピー性皮膚炎の場合は、「オメガ3脂肪酸(1):オメガ6脂肪酸(1~2)」で皮膚炎改善が認められているとの報告があり、犬の皮膚に生じている症状によってこの比率が変動することが分かります。

その他、皮膚が弱い犬には、真皮の構成成分となるコラーゲンが含まれたドッグフードを選ぶと尚良いでしょう。


添加物が含まれているドッグフードは極力避ける

  • 食物アレルギーの犬に関しては、添加物が含まれていないドッグフードを選ぶ

ドッグフードに含まれる「(人工)添加物」や消化性の悪いたんぱく質原料は、アレルギーの原因になることもあるとの報告があります。

食物アレルギーによって皮膚に問題が生じている犬に関しては、添加物が含まれているドッグフードは極力避けると良いでしょう。

ビタミンの含有量に注意してドッグフードを選ぶ

  • 皮膚が弱い犬は、ビタミンAの含有量に注意してドッグフードを選ぶ
  • 皮膚が弱い犬は、ビタミンEの含有量に注意してドッグフードを選ぶ

犬の皮膚に関与する主なビタミンに関しては、ビタミンAとビタミンEです。ビタミンAには様々な役割がありますが、一例として、角化(表皮において細胞が変化していく過程)に大きく関与する栄養素です。

このビタミンAに関しては、多すぎても少なすぎても皮膚疾患の原因になるため、ドッグフードを選ぶときは十分注意が必要。

その他、ビタミンBに関しては抗酸化作用が高いので、皮膚が弱い犬には積極的に与えたい栄養素ですが、ビタミンA同様、過剰に多く与えることは避けなければいけません。

皮膚疾患に関わらずビタミンAやEのような「脂溶性ビタミン」に関しては、過剰症を引き起こしやすいので、手作りご飯を中心に食事管理では気をつけたい栄養素です。

ビタミンに関しての過剰症や欠乏症に関しては、【犬に必要なビタミンと食材】で詳しく説明しています。


質の良いドッグフードを与える

  • 高温加熱したドッグフードは避ける
  • 良質な動物性たんぱく質が主原料のドッグフードを選ぶ
  • 必須脂肪酸の少ないドッグフードは避ける

皮膚が弱い犬に限らずドッグフードは質が良いに越したことはありませんが、特に皮膚が弱い犬の場合は栄養バランスの優れた食事を与える必要があります。

特に、消化吸収性の悪いたんぱく質(高温加熱したドッグフードや植物性たんぱく質が主原料のドッグフード)や、必須脂肪酸の含有量が少ないドッグフードは避けましょう。

なお、品質の低いドッグフードを長期間継続的に与えることで生じる皮膚疾患は、「ジェネリックドッグフード皮膚症」と呼ばれています。

食物アレルギーがある犬のドッグフード選び

食物アレルギーの犬の食事管理やドッグフード選びに関しては、本記事に合わせて【犬の食物アレルギーと食事管理】【食物アレルギー 低アレルゲンドッグフードの選び方】をご確認ください。

皮膚が弱い犬におすすめのドッグフード

ここでは、皮膚が弱い犬におすすめのドッグフードをいくつかご紹介致しますが、皮膚に関連した何かしらの病気が原因の場合は、必ず獣医師に相談して適切な治療を受けましょう。

なお、食物アレルギーの犬のためのドッグフードに関しては、【食物アレルギー 低アレルゲンドッグフードの選び方】で紹介しております。

フォルツァディエチ デルモアクティブ

  • オメガ脂肪酸が配合されている
    (オメガ3脂肪酸 1.2%:オメガ6脂肪酸 3.5%)
  • たんぱく質の消化吸収性に配慮されている

・犬の管理栄養士としての個人的評価 ★★☆☆☆
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価


フォルツァディエチ デルモアクティブドッグフードは、アレルギーに配慮した加水分解タンパクが使用されており、皮膚や被毛の健康を維持するための療法食です。

ただし、主原料にポテトを使用している点が個人的に気になります(加水分解タンパクにすることで、消化吸収性を上げている)。その他、療法食のため購入前に獣医師に相談が必要です。

ジウィピークエアドライ ニュージーランド マッカロー&ラム

  • オメガ脂肪酸3&オメガ6脂肪酸が豊富な魚を使用
    (成分値の詳細記載なし)
  • たんぱく質の吸収性に優れている
  • 抗酸化成分(ビタミンE)が配合されている
  • 高温加熱されていない

・犬の管理栄養士としての個人的評価 ★★★★☆
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価


ジウィ(マッカロー&ラム)は、エアドライフードで生肉の栄養価値を生かしたドッグフードです。消化率が非常に高く(95%以上)、ドッグフードの殆どの栄養成分が体に吸収されるのが特徴。

ニュージーランド産で、防疫管理及び法規制によって非常に厳しい基準が守られているドッグフードで、オメガ脂肪酸3&オメガ6脂肪酸が豊富な魚を使用。関節の健康維持にも配慮して、グルコサミンやコンドロイチンが配合されています。

ヒルズ 犬用 z/d ultra 食物アレルギー&皮膚ケアドライ

  • オメガ脂肪酸が配合されている
    (オメガ3脂肪酸0.52%:オメガ6脂肪酸4.00%)
  • たんぱく質の消化吸収性に配慮されている
  • 抗酸化成分が配合されている

・犬の管理栄養士としての個人的評価 ★★★☆☆
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価


ヒルズ(z/d ultra 食物アレルギー&皮膚ケア)に関しては、食物アレルギーの犬だけでなく皮膚ケアが必要な犬のための療法食。消化性の高い加水分解たんぱく質が使用されており、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸が配合されています。

その他、抗酸化成分が含まれており、皮膚バリア機能を維持するためにも効果的な療法食です。

ヒルズのドッグフードは動物病院でも多く取り扱っている点では安心感がある商品ですが、療法食のため購入前に獣医師に相談が必要です。

オリジンオリジナルドッグフード

  • 低温加熱処理に配慮
  • 使用する原材料へのこだわり
  • オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸配合
    1 % オメガ6脂肪酸(以上) 3 % オメガ3脂肪酸(以上) 0.8 % DHA / EPA (以上) 0.2 %

・犬の管理栄養士としての個人的評価 ★★★★☆
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

オリジン オリジナル 340g [正規品]
価格:1887円(税込、送料別) (2021/1/1時点)


オリジンオリジナルドッグフードは、犬に本来必要な栄養素(生物学的に必要であろう栄養素)について追及して作られたドッグフード。

原材料へのこだわりやオメガ脂肪酸配合に焦点を当てて考えると、皮膚の弱い犬にはおすすめ。動物性たんぱく質が豊富なため、免疫力を高めるためにも有効であると考えられる。

ただし、バラエティー豊富な動物性タンパク質が原料に使われているため、食物アレルギーの犬にはおすすめできません。

アーテミス フレッシュミックス (小型犬用)

  • 抗酸化酵素(スーパーオキシドジムスターゼ)配合
  • 使用する原材料へのこだわり
  • 合成保存料(BHA,BHT)、着色料、人工添加物不使用
  • オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸配合
    (オメガ3脂肪酸 0.4%以上 ・ オメガ6脂肪酸 2.4%以上)
  • 栄養素が損なわれにくい調理法

・犬の管理栄養士としての評価 ★★★★★
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価


アーテミスのフレッシュミックスは、良質な動物性たんぱく質を始めとした原材料へのこだわりや、単一たんぱく質への配慮、栄養素が損なわれにくい加工方法にこだわりをもったドッグフードです。

また、皮膚や被毛の健康維持に有効なオメガ3・オメガ6配合で、腸内環境の健康維持に配慮されていることから、皮膚が弱い犬の免疫力応援が期待できます。

合成保存料(BHA,BHT)や着色料、人工添加物も不使用で作られている、消化吸収性の優れたドッグフードです。

アーテミス フレッシュミックス (中・大型犬用)

  • 活性酸素の除去に配慮したドッグフード
  • 使用する原材料へのこだわり
  • 合成保存料や着色料、人口添加物不使用
  • オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸配合
    (オメガ3脂肪酸 0.4%以上 ・ オメガ6脂肪酸 2.2%以上)
  • 栄養成分の吸収効率を高める製法

・犬の管理栄養士としての評価 ★★★★★
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

アーテミス フレッシュミックス アダルト ドッグ 13.6kg 送料無料
価格:13527円(税込、送料無料) (2021/1/1時点)


アーテミスのフレッシュミックスは、良質な動物性たんぱく質を始めとした原材料へのこだわりや、栄養素が損なわれにくい加工方法にこだわりをもったドッグフードです。

また、皮膚や被毛の健康維持に有効なオメガ3・オメガ6配合で、腸内環境の健康維持に配慮されていることから、皮膚が弱い犬の免疫力応援が期待できます。

合成保存料や着色料、人口添加物も不使用で作られている、消化吸収性の優れたドッグフードです。

ただし、鶏・七面鳥・魚・ダック・卵など複数種の動物性たんぱく質原料を使用しているため、食物アレルギーの犬にはおすすめできません。

アカナ パシフィカドッグフード

  • 無冷凍で保存料ゼロ
  • 使用する原材料の品質へのこだわり
  • オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸配合
    (オメガ3脂肪酸 2.3% 以上 ・ オメガ6脂肪酸 1.2%以上)
  • 小麦、トウモロコシ、グルテン不使用
  • 低炭水化物

・犬の管理栄養士としての評価 ★★★★★
※上記、皮膚の弱い犬に与える場合の個人的評価


アカナのパシフィカドッグは、良質な動物性たんぱく質を始めとした原材料へのこだわりや、良質な動物性たんぱく質の含有量(最大で75%)にこだわりをもったドッグフードです。

個人的にとても好きなドッグフードメーカーで、愛犬たちのトッピングご飯のドッグフードは、以下同じメーカーのアカナグラスフェッドラムを使用しています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

[正規品]アカナ グラスフェッドラム 11.4kg
価格:11780円(税込、送料無料) (2021/1/1時点)


愛犬に合ったドッグフードを与えよう!

一言で皮膚の弱い犬といっても、個々の犬の体質や年齢、発症している病気の有無や犬種など様々な要因で「適したドッグフード」は異なります。

ドッグフードを変更する場合は、必ず愛犬の便の状態や皮膚、被毛を始めとした健康状態を確認して、その犬に適しているか否かの判断をすることが大切です。

また、何かしらの病気を発症している犬の場合は、必ずかかりつけの動物病院に食事管理について相談しましょう。


記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし、BOWWOW Info.情報配信サイトを開設。犬の管理栄養士、救命士、介護士など、多数資格を保有。様々な企業のドッグフード開発コンサルティングや配合設計などを行う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.

犬の口腔内メラノーマや眼球メラノーマ〔獣医師監修〕

目次:
1、犬の腫瘍「メラノーマ」とは?
2、悪性メラノーマについて
3、口腔内メラノーマと眼球メラノーマ
4、口腔内メラノーマの食事管理や自宅ケア

悪性腫瘍の中でも転移率が高いといわれているメラノーマですが、口腔内に発生した場合は手術での全摘出が困難であったり、食事を与えるのが難しくなったりと様々な障害を伴います。

今回は、犬のメラノーマに関しての検査や治療などの基本情報に加えて、食事方法や自宅ケアについてご紹介致します。なお、メラノーマの治療に関する詳細情報は【犬のメラノーマ|免疫療法や放射線治療など】をご参照ください。

1、犬の腫瘍「メラノーマ」とは?

ここでは、犬のメラノーマに関しての基本的な情報や発生しやすい部位などをご紹介致します。

1-1、メラノサイトにできる腫瘍

メラノーマ(悪性黒色腫)とは、犬のメラニン色素を形成している細胞である「メラノサイト」にできる腫瘍です。メラノサイトは、犬の皮膚や粘膜に存在するメラニン産生細胞で、犬の場合は良性腫瘍のメラノーマと悪性腫瘍のメラノーマがあり、ある程度発生部位によって良性か悪性かを判断することができます。

また、メラノーマに関しては口腔内と目に発生するケースが多く、色素の濃い犬が多く発症しやすいと考えられています。腫瘍の色が黒いのが特徴ですが、メラノーマであっても稀に黒色でないこともあります。

2-2、メラノーマの発生部位

良性メラノーマは、一般的に被毛がある場所(皮膚)に発生。対して悪性メラノーマの場合は、犬の唇や眼球の上下を覆って角膜を保護している皮膚などの粘膜接合部、爪周辺部(爪下)、口腔内などに発生します。

口腔内メラノーマに関しては別途説明しますが、全摘出においては手術が困難になるケースが多いのが特徴です。ただし、必ずしも良性と悪性の発生部位が分かれるわけではありませんので、メラノーマを疑うときは、必ず獣医師の診察を受けるようにしてください。

2、悪性メラノーマについて

ここでは、悪性メラノーマの検査方法や一般的な治療方法についてご紹介致します。治療に関しては、獣医師とよく話し合って決めていきましょう。

2-1、悪性メラノーマの検査方法

悪性メラノーマの検査は、最終的には腫瘍を摘出して組織の病理組織検査によって行われます。組織の病理検査では、犬のメラノーマの悪性度や進行状態、転移や再発にとどまらず、犬が化学療法や何かしらの治療を行った際の効果や予後などの推測ができます。

そのことからメラノーマに関わらず、腫瘍を摘出した後は大抵の場合は病理検査を行います。腫瘍によっては病変部の広がりを確認するために、摘出手術をする前にCT検査やMRI検査などの詳しい検査が必要になることがあります 。

2-2、悪性メラノーマの治療方法

悪性メラノーマでは、通常大きめに腫瘍を切除しますが、犬の口腔内に腫瘍ができてしまった場合は完全に切除しきれないこともあったり、肢の先端部にできてしまった場合は獣医師に断脚手術を勧められることもあります。

術後は抗がん剤治療や放射線治療を行うケースもありますが、転移する可能性が高いがんなので注意が必要です。しかしながら、初期に発見して早期治療ができれば根治を目指した治療が可能な場合もあるので、病気の早期発見のために日ごろから愛犬の口腔内や目、肢先などのチェックも行っておくと良いでしょう。

2-3、悪性メラノーマの転移

悪性メラノーマは局所浸潤性が高く、また犬のがんの中でも転移率が高い腫瘍といわれております。

がんが発生した部位周辺に広がっていき、リンパ節や肺など多臓器に転移しやすいと考えられていますので、犬のがんの中でも悪性度が高いといわれています。その他、老犬の場合は目に発生したメラノーマに関しては比較的大きくなりにくいのが特徴です。

3、口腔内メラノーマと眼球メラノーマ

ここでは、メラノーマの中でも多くみられる口腔内メラノーマと眼球メラノーマについてご紹介致します。

3-1、犬の口腔内に発生するメラノーマ

犬の口腔内に発生する主ながんは3種類あるといわれており、代表的なものがメラノーマ。その他に、扁平上皮癌と線維肉腫があります。

犬の口腔内に腫瘍ができてしまうと、唾液が多くなる、口臭がきつくなる、出血などの症状が生じて、腫瘍が大きくなってしまった場合は食欲不振や(※1)嚥下困難などを中心に様々な症状がみられます。口腔内の腫瘍の場合、残念ながら手術で完全に摘出することができないケースが多いのが特徴です。

(※1)嚥下:口から入った食事を喉の奥へと飲み込んで、さらに食道から胃へと送るという一連の流れ

3-2、犬の眼球に発生するメラノーマ

眼球に発生するメラノーマは、猫では転移率が高いのに対し、犬の場合は転移の確率は僅か2%以下であるといわれています。腫瘍は黒色で、若い犬の場合は短期間で腫瘍が大きくなりますが、比較的年齢を重ねた8才以降の犬の場合はそれほど大きくならないケースが多い腫瘍です 。

なお、犬の眼球に発生するメラノーマの転移確率に関しては、文献(参照データ)によって差が生じることがあります。


4、口腔内メラノーマの緩和ケア方法

メラノーマだけでなく、犬が悪性腫瘍を発症すると緩和ケアが必要になるケースが多くあります。ここでは、口腔内メラノーマを中心に食事方法や自宅ケアについてもご紹介致しますが、がんにおける緩和ケア全般の内容に関しては、【①必要性や方法】【薬や治療法】をご確認ください。

4-1、がん性の疼痛の緩和ケア

口腔内メラノーマを中心に腫瘍を全摘出できないような場合、どうしても愛犬のQOLを維持するために緩和ケアが必要になります。

メラノーマによる痛みの緩和ケアは犬の状況によって異なりますが、一般的には必要に応じて「非ステロイド系の抗炎症薬」が使用され、さらに激しい痛みが生じている可能性がある場合や非ステロイド系の抗炎症薬では痛みの緩和が十分でない場合、口腔内腫瘍によって犬の口からの薬投与が困難な場合は「オピオイド製剤」が使用されることがあります。

また、メラノーマをはじめとした犬の口腔内のがんにおける出血や腫瘍の腫れがある場合、(緩和)放射線治療で症状を軽減することができるケースも多く、メラノーマに関しては多かれ少なかれ腫瘍を小さくする効果も期待できるようです。

がん性の疼痛を中心とする犬の緩和ケアに関しては、犬の状況や痛みの程度(推測)、腫瘍の状況などによって大きく異なるので、緩和ケアにおける治療のリスクなども踏まえた上でしっかりと獣医師と話し合った上で決めていきましょう。


4-2、口腔内にメラノーマができた場合の食事方法

口腔内にメラノーマができてしまった場合は体重減少がみられることが多く、食事の方法に悩む飼い主さんが多くいます。悪性腫瘍によって、ただでさえ食事の消化吸収能力が妨げられますが、それに加えて口に腫瘍がある場合は物理的に犬が食事を摂れない(摂りにくい)状況に追い込まれます。

そのような場合、少量で栄養補給できる高栄養缶などの流動食を喉から流し込む方法が考えられますが、動物病院で栄養チューブの装着を早期段階で勧められることもあります。

また、数年前にアメリカで犬用食欲増進剤(エンタイス)が販売され、日本国内の動物病院でも取り扱っているところもあるようですので、物理的に食事が摂れる犬の場合は副作用を含め獣医師に食欲増進剤に関して相談してみると良いでしょう。

4-3、口腔内メラノーマの自宅ケア

薬の投与を中心とした緩和ケアは動物病院でお願いできますが、口腔内にメラノーマがある場合は自宅でのケアがとても大切になります。犬の状況によってケア方法は異なりますが、口の中が汚れしまっていたり乾燥していたりすると粘膜感染を進行させやすくなります。

そのため、ガーゼに水を含ませて犬の口の中が潤うよう定期的なケアを行うことが大切です。また、食後も口の中を清潔に保つために水を与えるなど、愛犬の口腔内ケアをしっかりと行いましょう。

口腔内ケアに関しては、腫瘍ができている部位や状況によってケア方法が異なることがあるので、愛犬に合った適切なケア方法を必ず獣医師に確認してから行ってください。


参考文献
・小動物腫瘍科専門誌 Veterinary Oncology No.22,インターズー,2019.
・動物臨床医学研究所 山根義久,イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科,パイインタ-ナショナル,2012.
・田中茂男,犬の医学,時事通信社,2011.
・矢沢サイエンスオフィス,もっともくわしいイヌの病気百科,2007.


WRITER Profile

記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。老犬介護士、ペット看護師、犬の管理栄養士を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も数多く請け負う。


記事監修者:  (獣医師)西原 克明

動物病院の院長を務めながら、様々なペット関連業界で活躍。腫瘍外科や椎間板ヘルニアを中心に「特殊外科」の執刀を得意とし、腸内細菌や口腔内細菌の研究を行い予防医療にも注力している。


犬の腎不全における食事管理〔管理栄養士解説〕

目次:
1、犬の腎不全と腎臓病
2、腎不全の犬の食事管理
3、腎不全の犬の食事管理
4、食欲が低下している場合の対処

犬の腎不全や腎臓病で悩む飼い主さんが多くいますが、犬の腎不全においては血液検査で早期に発見することが難しく、病気に気がついたときには既に食事管理が必要になっているケースが多いのが特徴です。今回は慢性腎不全の食事管理のポイントを中心にご紹介致しますので、愛犬の手作りご飯やドッグフード選びで参考にしてみてください。

なお、ドッグフード選びで悩んでいる方は【腎臓サポートドッグフードの比較】記事で腎臓に問題がある犬のためのドッグフード比較を行っておりますので、ご確認ください。


1、犬の腎不全と腎臓病

腎不全は何かしらの原因で腎機能が低下した状態を意味し、一般的には腎臓機能の70~75%程度が失われた段階で腎不全(高窒素血症)と呼ばれます。腎不全の犬に関しては、通常尿で排出されるべき不要な老廃物が体外に排出されなくなってしまい体の中に蓄積しやすくなります。

それに対して、腎臓病の犬は腎臓自体の病気であり、腎臓病であっても腎臓機能の70~75%以上が失われた状態でない限りは腎不全とは呼びません。そのため、犬の場合は腎不全になると血液検査でBUN(血中尿素窒素)が上昇しますが、腎臓病の犬であっても70%以上の腎臓機能が喪失されないと血液検査結果で発見できないということになります。

最近では、慢性腎臓病の早期発見のために IDEXX SDMAと呼ばれる検査を院内でできる動物病院も増えたので、手作りご飯やドッグフード選びの際は愛犬の腎機能評価のために血液検査(クレアチニンやBUN、リン)と尿検査(尿比重)に合わせて、SDMA検査も行うと尚良いでしょう。

2、腎不全の犬の食事管理

愛犬が腎不全になってしまった場合は、必ず獣医師に相談して腎臓に負担がかかりにくい食事管理を行いましょう。


2-1、まずは獣医師に相談

腎臓病や何かしらの原因によって慢性腎不全が生じている犬の場合、動物病院の治療に合わせて毎日の食事管理が大切になります。市販でも慢性腎臓病の療法食が販売されていますが、はじめは獣医師に療法食について相談して、愛犬の状況にあったものを処方してもらうと安心です。

2-2、腎不全のステージと食事管理

腎不全のステージは一般的に1~4の4つあり、ステージ1の場合であっても食事管理が大切。ステージ2(クレアチニン値が1.4~2.0㎎/dL)からステージ3(クレアチニン値が2.1~5.0㎎/dL)以上の場合(数値が2.0㎎/dL以上になってしまったら)必ず食事管理を徹底しなければいけません。

腎不全の場合、定期的に健康診断を行っていても、一般的な血液検査結果では病気が進行するまで分からないことが殆どですので、発見したときには既に食事管理が必須になるケースが多いのが特徴です。また、ステージ1~2では臨時症状がみられないことが多い(症状があっても徐々に進行する)ので、飼い主さんが病気に気がつくのが遅くなってしまいます。

3、腎不全の犬の食事管理|6つのポイント

3-1、低タンパク質の食事

慢性腎不全の犬の場合は、低タンパク質な食事が基本です。犬がタンパク質を食事で摂取した場合、腎臓はタンパク質に含まれる窒素化合物(老廃物)である尿素をろ過しますが、この過程で起こる腎臓への負担を軽減するためにタンパク質の制限が必要になります。

また、タンパク質に含まれる窒素化合物は慢性腎不全の犬においては尿毒症リスクを高めることから、食事で制限することによって老廃物が体内に蓄積しにくい環境をつくります。すでに尿毒症の犬の場合は、タンパク質を制限することによって嘔吐や下痢症状の軽減に役立つとも考えられています。

当たり前のことですが、制限はするもののタンパク質は慢性腎不全の犬にとっても重要なエネルギー源です。単純に制限するだけでなく、体重の大幅な減少や低アルブミン血症、貧血症状を引き起こさないように良質な動物性タンパク質を使用しているドッグフードを選ぶことが大切です。ちなみに、手作りご飯を与える場合は良質な赤身肉などを使用したり、リンの少ない肉や魚を調べて利用したりするなどの工夫が必要です。

ドッグフードのタンパク質量について考える場合、慢性腎不全であれば14~20%DM(乾物量)が一般的に推奨されていますが、腎機能の低下に応じて食事中のタンパク質の制限値を考えるため、検査結果をもとに獣医師に相談して決めましょう。海外の人気ドッグフードは全体的に食事に含まれるタンパク質量基準が高いので、慢性腎不全の犬については十分注意が必要です。


3-2、脂肪が多めの食事

腎不全の犬の場合、尿毒症性の悪液質によって食事で摂取した栄養素が正常に代謝されなくなることがあります。それに加えて重要なエネルギー源であるタンパク質を食事で制限しなければいけないので、犬の体に十分なエネルギーを補給するために高エネルギー、高脂質の食事を心がけます。

手作りご飯の場合は、タンパク質を制限しながらも脂質の多い肉や魚を使用することをおすすめしますが、いずれにせよ1回の食事量を減らして食事回数を3回以上に変更するなど、内容だけでなく食事の与え方にも配慮する必要があります。

3-3、リンの制限

腎不全の犬用療法食はリンが制限されていますが、これは慢性腎不全の進行を遅らせるためです。リンが多い食事は、腎臓にカルシウム塩が沈着させることから腎不全を進行させる原因になると考えられています。ドッグフードであればリン0.15~0.3 DM(乾物量)の範囲を目安にラベルを確認して選ぶとよいでしょう。

一概に腎臓ケア用ドッグフードといってもリンなどの含有量は異なりますので、ラベルに詳細が明記されていない場合はメーカーに問合せて事前に確認することをおすすめします。手作りご飯の場合は、玄米を中心にリンの多い食材の使用は避けましょう。同じタンパク質量の食材であっても、食材中のリンの量に差が生じるため、手作りご飯でタンパク質源の食材を選ぶときはリンが少ないものを選ぶことをおすすめします。

3-4、ナトリウムの微調整

多くのインターネットで腎不全の犬のナトリウム制限について紹介されていますが、ナトリウムに関しては特に注意が必要です。犬の体の脱水状態や血清Na濃度を検査で確認しながら、都度獣医師に相談して調整することをおすすめします。

ナトリウムを食事で制限するのは、重度の腎不全の犬における高血圧や高カリウム血症の回避などが主な理由ですが、状況によってはナトリウム量を制限しすぎることにより細胞外液量が減少。それによって脱水症状が引き起こされやすくなるので、腎不全の度合いによって都度獣医師にナトリウム制限の必要性や制限レベルなどを確認することをおすすめします。

ただし、いずれにせよ塩分量の多いおやつを犬に与えたり、手作りご飯で塩分量が極端に多い食材を使用したりしないよう注意しましょう。

3-5、オメガ3脂肪酸を取り入れる

オメガ3脂肪酸は健康体の犬であっても食事に取り入れることをおすすめする成分ですが、慢性腎不全の犬の場合は腎臓内の炎症緩和や高血圧軽減のために、EPAやα-リノレン酸が有効です。ドッグフードを与えている場合は犬用サプリメントを活用するのがおすすめ。手作りご飯の場合はサプリメントの代わりに青魚などを取り入れるのも良いでしょう。


3-6、抗酸化物質を取り入れる

抗酸化作用がある食材は、主にβカロテンやビタミンC、ビタミンEなどの成分です。愛犬の手作りご飯で役立つ抗酸化作用が期待できるに関しては、【おすすめ食材(2)】をご確認ください。また、最近のドッグフードは抗酸化作用がある成分を多めに含んでいるものがあります。

サプリメントを使用する際は特定の成分が過剰にならないよう注意しましょう。また、慢性腎不全の犬の場合、抗酸化作用が期待できる食材が腎臓に存在する細胞を保護。腎不全によって生じる症状を軽減するために効果を示すことがあります。

4、腎不全で食欲が低下している場合の対処

慢性腎不全を発症している犬の場合、ガスとリンと呼ばれるホルモンの血中濃度が高まることで胃炎が引き起こされやすく、犬の食欲が低下することが多くあります。慢性腎不全で食欲が安定しない場合は、早めに獣医師に相談して胃酸の分泌を制御するための薬など、何かしらの食欲改善に効果的な薬(治療)について考えるのも一つの選択肢です。

5、まとめ

今回は、腎臓病の犬の食事管理についてご紹介致しました。ドッグフード選びで悩んでいる方は【腎臓サポートドッグフードの比較】記事で腎臓に問題がある犬のためのドッグフード比較を行っておりますのでご確認ください。


参考文献:
・株式会社緑書房,犬と猫の栄養学,奈良なぎさ,2016.
・阿部又信,臨床栄養学―獣医学教育モデル・コア・カリキュラム,インターズー,2015.
・阿部又信,動物看護のための小動物栄養学(改訂版) 日本小動物獣医師会,ファームプレス,2003.
・動物臨床医学研究所 山根義久,イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科,パイインタ-ナショナル,2012.
・田中茂男,犬の医学,時事通信社,2011.


WRITER Profile

記事作成者:  望月 紗貴
飼い主の意識の向上(=犬たちの幸せ)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士、老犬介護士、ペット看護師を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も数多く請け負う。

成犬・老犬の食欲不振の対処法〔管理栄養士解説〕

目次:
1、食欲がない時に考えられる病気
2、老犬に多い食欲不振の原因
3、愛犬に食欲がない時の対処方法

飼い主にとって愛犬の食欲不振は本当に心配なもので、私も愛犬ががんによる食欲不振や抗がん剤副作用による食欲不振になったときは大変気を使いました。老衰だけでなく、病気などが引き金となり成犬であっても食欲不振になることがありますが、今回は全般的に犬に食欲がない時の対処法について幅広くご紹介致します。

1、食欲がない時に考えられる病気

人間であっても身体の不調によって食欲が低下しますが、犬の場合も同様に病気によって食欲不振になります。「食欲がない」という症状を伴う病気は本当に数多くあるので、まずは獣医師に相談して適切な検査を。食欲がない根本的原因を突き止めて、原因に応じた対処法を探ることが何より大切です。

参考までに「全く食欲がない」ような場合は、歯肉炎や歯周病などの口腔内の病気や鼻炎を中心とする鼻腔(または副鼻腔)に関連する病気、特発性の三叉神経炎や悪性腫瘍などが考えられますが、この場合も他に考えられる病気が数多くあるので、早めに動物病院で検査を行いましょう。

【犬の食事管理の記事一覧】

2、老犬に多い食欲不振の原因

老犬の場合、口腔内の病気が原因で痛みや炎症が生じて食欲不振になる犬も多く、その他にも、筋力の衰えや関節炎が生じやすかったり足腰の病気を発症しやすいことから、「食事が摂りにくいこと」が原因で食欲不振になるケースもあります。老犬の食事に関しては別途ご紹介させていただきますが、食欲低下を引き起こさないよう犬の食事のしやすさにも配慮が必要です。

また、老犬は消化器官の機能にも問題が生じやすく、消化率の低下や代謝能力の低下。歯が悪くなることで唾液分泌量が減る、味覚を中心とした感覚器の機能低下などが原因で食欲不振になることもあります。老犬だからと思ってしまいがちですが、老犬だからこそ病気の可能性についても幅広く考えて定期的な健康診断を受けさせましょう。

3、愛犬に食欲がない時の対処方法

3-1、水分量の多い食事に切り替える

食欲がない時は、水分量の多いウェットフードを試してみると良いでしょう。ドライフードをぬるま湯でふやかすことで香りを高め、犬の嗜好性を高めます。

栄養素が崩れやすいという観点からドライフードをふやかす場合は熱湯でふやかさないよう注意が必要。人の手の温度より少し温かい程度のぬるま湯で5分~10分程度ふやかして、冷ましてから犬に与えます。

3-2、反応しやすい食事に切り替える

犬にも味覚がありますが、人ほど複雑(敏感)ではないと考えられています。しかしながら、犬の「甘味」に反応する味覚細胞はとても発達しており、細胞が存在する部位が多いのが特徴です。そのため、肉や魚に多く含まれているアミノ酸、果糖、乳糖などに対して犬は敏感に反応します。

愛犬に食欲がない時は、動物性たんぱく質が豊富な肉や魚主体のフードに切り替えたり、果実をジューサーやミキサーで細かくして食事にトッピング。ヤギミルクをトッピングしてみたりと、愛犬が反応しやすい食事に切り替えて様子を見ると良いでしょう。

3-3、流動食など食事のタイプを変える

口腔内の健康状態が悪くて食欲がない場合(噛むことに支障がある場合)や、病気によって物理的に食べることができない犬の場合は、シリンジを利用して流動食を与える必要があります。また、シリンジを使用しても物理的に飲み込むことができない場合、積極的食事摂取を目的とするのであれば獣医師に栄養チューブの装着を勧められるケースもあります。

老犬を中心に強制給餌に関しては飼い主さんの考え方によって大きく見解が異なるので、獣医師に相談することはもちろん、愛犬のことをしっかりと考えて飼い主さん自身が強制給餌の必要性について考えることが大切です。

3-4、適切な運動管理で食欲を高める

健康状態に問題がない犬の場合、単純に運動不足によって食欲不振に陥っているケースもあります。犬によって必要運動量は個体差がありますが、一般的には小型犬であれば1回30分程度を1日1~2回、中型犬であれば1回30分~1時間程度を1日2回、大型犬であれば1回30分~2時間程度を1日2回目安です。

先述でも述べましたが、これはあくまで一般的な目安であり犬種や年齢、生活環境などによって適切な運動量は犬によって大きく異なります。何より愛犬の様子を見ながら愛犬に合った運動量を見極めることが大切ですので、愛犬の運動量が適切であるかを今一度考え直してみましょう。

3-5、食事のしやすさを配慮する

老犬や足腰の病気、ヘルニアなどを発症している犬の場合、食事がしにくいことから食欲不振になるケースもあります。このような犬の場合は、食事が寝床(犬の生活環境)から遠くないか、食事の姿勢が辛そうでないかなど配慮して、必要に応じて食事場所を変えたり、犬用の食器台(食事テーブル)で高さ調整するなどの配慮が必要です。

食器台(食事テーブル)を利用する場合は、犬が四肢で立ったときにほんの少しだけ首を下げた位置に食器がくる高さ(胸元の少し上あたり)が良いでしょう。最近では数段階に高さを調整できるものや角度調整ができるものもあるので、愛犬の食べているときの様子を見ながら調節してあげることをおすすめします。

その他、老衰によって味覚や嗅覚などの感覚器が衰えている場合は、ウェットフードなど香り豊かな食事を心がけ犬の鼻先に食事を運んであげるなどの配慮が必要です。

3-6、状況に応じて高栄養缶を与える

老犬を中心に、体力がなくて長時間食事を食べることができない犬もいます。シリンジを使用した強制給餌に関しても長時間行うと犬も疲れてしまうケースが多く、そのような場合は犬の状況に合わせて少量でエネルギーを補給できる高栄養缶を与えるなどの工夫も必要です。極端に体力がない老犬の場合は、獣医師に食事に関して相談することをおすすめします。

3-7、精神的ストレスがないか見直す

ただ単に甘えによって食事の好き嫌いをする犬もいますし、精神的なストレスによって食欲不振になってしまう犬もいます。犬のストレスに関しては特に注意が必要で、飼い主が気づかないような些細な環境の変化(飼い主の変化・同居犬の変化・住む場所の変化など)によってストレスを感じる犬もいます。

また、犬のストレス要因で多いのが飼い主との好ましくない関係性であるため、愛犬との十分なコミュニケーションが行えているか、愛犬に接するときの態度が適切であるかについても今一度見直すことが大切です。

【犬の食事管理の記事一覧】

3-7、必ず獣医師に相談する

病気が食欲不振の原因となっている場合、または既に病気発症中の犬の場合は、必ず食欲不振について獣医師に相談しましょう。特に悪性腫瘍(がん)などを発症しているときは、抗がん剤の副作用によって食欲がなくなることが多いので注意が必要です。

その他、抗がん剤に関わらず末期のがんを中心に重度の病気を発症している犬のケースでは、痛みや不快感によって食欲不振が引き起こされていることも多く、その場合は食欲増進剤などの投与が効果的。愛犬の状況に応じて、副作用など含め獣医師に相談してみることをおすすめします。


WRITER Profile


記事作成者:  望月 紗貴
犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。老犬介護士、犬の管理栄養士資格を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も請け負う。