愛犬ゴールデンレトリバーの精巣と脾臓の腫瘍?

少し前の10月22日、愛犬ボーダーコリーのラテが手術入院から退院。というのも、レントゲンやエコー、血液検査で腸管腫瘍の疑いが高く手術をしました。腺癌、またはリンパ腫、GIST(消化管間質腫瘍)、平滑筋肉腫のいずれかということだったが・・。

幸い腫瘍ではなく、よく分からない物質を摘出して既にめちゃくちゃ元気を取り戻しています。極端に減ってしまった体重も、着々と戻ってきていて一安心。摘出された物体が何かは獣医師さんが見ても、私が見ても何かは分からなかったが・・。とにかく、本当に腫瘍でなくてよかった・・。

そして、ラテが退院して数日後に、愛犬ゴールデンレトリバーのティラが急に元気がなくなり・・。約7年7ヵ月体調を崩したことがないティラ(下痢でさえ、多くても数年に一度)が、食事を受け付けなくなった・・。もう老犬?といえば老犬だけど、とにかくゴールデンレトリバーだし、年齢的にも嫌な予感がしてすぐに検査をお願いしました。

そして、結果かなり高い確率で精巣の腫瘍とのこと・・。そして、開けてみないと分からないけど脾臓にも何か嫌なものが・・。どうせ精巣の腫瘍らしきものを摘出するのならば、と思い、両方摘出をお願いしました。手術は、3日の水曜日・・。

ボーダーコリーのラテのこともあったので、ここ最近は不安な時間もあったけど、良い意味でも、今後の愛犬たちとの生活のことばかりを考えていた。「今以上に彼らを幸せにしたい!」というポジティブな意味で。自分が不安定になったら愛犬たちが可哀想。だから、今を生きる犬たちのように先のことを考えず、とにかく自分自身も今だけを生きたい。彼らの前では幸せな気持ちでいたい。人である以上、飼い主である以上、治療方針や彼ら個々の性格に合わせた”幸せのあり方”については、より一層深く考えていかなきゃだけどね!

愛犬バーニーズマウンテンドッグの血管肉腫や組織球肉腫と向き合ってきた中で、長年自分に「今を彼らと幸せに生きる」。そう言い聞かせていたら、自然と今回も愛犬たちと一緒にいるときは不安が消えて、不思議と今まで以上に一緒に過ごすことのできる幸せな気持ちがこみ上げる。一人になったときは(4頭いるので、一人になるときは少ないが)、色々後先のことを考えるものの・・。

検査後は、処方してもらった非ステロイド性消炎鎮痛剤が効いているようで、ティラの元気も復活。結局、完全に食べなかったのは1日だったけど。あ、ちなみに、私が開発させていただいた「うちのトイプー」ごはん。

これだけは、薬を飲んでいない半日の間、食べてくれてビックリ!!オメガ3やグルコサミン・コンドロイチンが入っているので、トイプードルに限らず老犬全般(食事制限が必要な犬以外)にもおすすめ。「ママがかいはちゅってのをしたので、意地でも食べるでしゅ~!!」のティラくんでした(笑)ちなみに、500円モニター実施中なので興味がある方は是非。

ともあれ、薬を飲み始めてからは、食欲も完全に元気な時の状態に戻りました。手術日まで少し空くので心配がないといったら嘘になるけど、手術のために体力を維持してほしい。そして、もしかすると腫瘍と何らかの可能性があるかもしれない多飲多尿。

これも、バイトリル錠で2日程度でおさまり、本犬が元気に走り回っていること、早期発見だったので骨髄にまで影響が出ずに手術ができること。獣医師さんいわく、精巣腫瘍が巨大化してしまっていたら、エストロジェンというホルモンが過剰に分泌されてエストロジェン中毒⇒骨髄抑制になってしまっていたとのこと。

本当に手術できる状態で良かった・・。一人車を運転しているときとか、少し不安定になってしまった日もあったが、腫瘍含め色々なことをプラスに捉えられるようになってきた気もする。家族や友人、仕事仲間の支えや言葉が一番大きいのも確かだけど・・。「紗貴ちゃん・望月さんの子になっただけで幸せなんです」。その言葉が、どれだけ励みになったことか・・。

生検出さないと分からないが、腫瘍がもしかすると血管肉腫かも?という話を聞いたので、愛犬バーニーズマウンテンドッグちょこの時のように抗がん剤を使用しないで、摘出後は食事管理のみにするのか、抗がん剤にするのか・・。

もし悪性腫瘍だった場合は、ティラにも苦しさを与えてまで長生きはさせたくない。抗がん剤の副作用が出なければ、その力をかりて1日でも長く一緒にいてほしいけど、何よりティラが今を幸せに過ごせすことが私としては一番大切なんだと思う。

なんだか、自分の考えをまとめるためにブログを書いたのに、結局よく分からなくなってしまった・・。とにかく、ティラやラテ、おはぎ、きなこが幸せに過ごすことができるように、私も彼らの前では幸せを噛みしめて過ごしていきたい。ボーダーコリーのラテとゴールデンレトリバーの腫瘍騒動もあり、普段以上にそう感じた2週間弱でした。

今日は、私の心の犬友様からヤギミルクも・・。配送伝票の「望月ティララテ様(よく届いたね(笑))」で、笑ってしまった!お犬たちのことを愛するお友だちたちに囲まれて、生きていける自分が本当に幸せだと・・。身に染みて感じております。ティラ、手術日が迫ってきているので免疫力を高めるために早速使わせていただきます。

老犬のトリミングの危険性や自宅ケア方法〔トリマー解説〕

トレーナーとして働いていた職場にトリミングサロンがありましたが、サロン内の暑さに驚くことが多々ありました。トリミングサロンでは、お湯やドライヤーを継続的に使用する関係上、冷房設備がある場所であっても温度が長時間上昇することがあります。

そのため、老犬に関わらず免疫力が低下している犬には危険を伴うことがあります。今回は、過去にトリマーとして勤務経験のある資格保有者に、老犬のトリミングの危険性について解説していただきました。

1、老犬のトリミングの危険性

老衰や病気によって体に何かしらの問題がある老犬の場合、または老衰によって免疫力が低下傾向にある老犬の場合は、トリミングが命に関わることもあります。

1-1、ストレス

老犬にとってトリミングは、精神的、肉体的に想像以上の負担をかける原因になり、これは何年も通い続けているトリミングサロンであっても同じです。

犬も年齢を重ねると老衰によって免疫力が低下し、何かしらの病気発症中であれば尚更トリミングは危険な行為になります。また、外出やトリミングが苦手な老犬の場合は、大きな精神的負担も長時間かかることになります。

自宅で行うことができるケアは極力自宅で行い、病気発症中の場合は念のため動物病院でのシャンプーサービスを利用することをおすすめします。また、トリミングにどうしても行かなければいけない場合は、頻度を減らすといった工夫も必要です。

1-2、心臓への負担

温泉浴やマイクロバブル、エステなどトリミングサロンには様々な方法の温浴メニューが用意されています。自宅でトリミングをするときに家族同様に湯舟や小型のバスに老犬を浸けている方もいるでしょう。

しかし、一見犬がリラックスしているように見える温浴は、実は老犬には大変危険な行為となり得ます。人間と違い、犬には「エクリン腺」と呼ばれる体温調節を可能とする汗腺が、肉球や鼻先などごく少数の部位にしかありません。

このように体の構造が人と異なることから、老犬に関わらず犬は全般的に暑さに弱いとされます。ましてや免疫力が低下傾向にある老犬の場合は、大変危険な行為であることを理解しましょう。

僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症、先天性心血管奇形を中心に心臓疾患がある場合、心臓に何かしらの問題がある場合は急激な心拍数の上昇によって、命にかかわる危険性もあります。

お風呂やシャワー、カットなど疲労を伴うお手入れは、必要に応じて最低限の頻度で実施。短時間で危険を最小限に抑える方法で行うことが大切です。


1-3、熱中症のリスク

老犬は、トリミング中のドライヤーで熱中症リスクが高まります。これは夏のトリミングに限ったことではなく、季節問わず室温や湿度の上昇によって引き起こされます。

一般的に熱中症は短時間で症状が引き起こされますが、目に見える症状が起こらず静かに症状が進行することもあります。トリマーに限らず、飼い主さんも症状を見過ごしてしまいがちですので十分注意が必要。

老衰がみられる犬にとって、トリミング中の長時間のドライヤーは大変危険な行為であることは頭に入れておく必要があります。トリマーや使用するドライヤーによって異なるものの、トリミングサロンでは柴犬やシーズー、プードルなどのドライヤーに30分以上かかることもあります。

大型犬はブラッシング込みで1時間程度かかることも珍しくありませんが、直前までお湯を浴び、心拍や体温が上がっている状態でドライヤーをかけるため、老犬に関わらず全ての犬において体に負担がかかっていることはいうまでもありません。

熱中症リスクに関しては自宅でケアする場合も同様ですが、自宅でケアする場合は都度老犬の状況を細かく観察しながら休憩させるなどの工夫ができ、移動時間や移動ストレスがないのもメリットです。

自宅でシャンプーを行う場合は、予めシャンプー後のタオルドライで入念に被毛の水分を取り除き、ドライヤー時間を短縮。犬の様子を見ながら水分補給をしたり、休憩をはさむなどの工夫をすると良いでしょう。

1-4、股関節への負担

トリミングサロンでは、それぞれの犬種ごとの作業時間の目安が設けられています。ベテラントリマーであれば一般的にトリミングの目安時間は、プードル3時間以内、大型犬2時間以内、小型犬1時間以内が目安とされます。

いずれにせよ、犬達は長い時間直立姿勢(座っていても固定された状態)で体勢を維持しなければいけません。そのため、トリミング中に同じ姿勢をトリミングテーブルの上で保ち続けることが、いかに老犬の体や精神面に負担をかけるのかを理解してあげることが大切です。

股関節形成不全やヘルニアを中心に、四肢、腰、背中などに何かしらの問題がある老犬の場合は特に注意が必要です。


2、トリミング後注意したいこと

トリミングサロンでは異常が無かったものの、帰宅直後やトリミングサロンを利用した日の夜間に体調を崩したり、突然死してしまうことがあります。

これは、極度の緊張や疲労、心臓への過度な負担などが原因だと考えられ、安心できる居住空間である自宅に戻り、緊張の糸が途切れることが関係しているといわれています。

老犬に関わらず、トリミングサロンを利用する場合は、直前数日間の体調や当日の作業時間、帰宅後の様子の確認を入念に行いましょう。その他、トリミングの後は十分自宅で休憩させてあげることが大切です。

3、自宅でできる老犬ケア方法

ここでは、自宅でできる老犬のケア方法について簡単にご紹介致します。老犬が病気発症中でシャンプーなどの自宅ケアに不安がある方は、必ず事前に獣医師に相談しましょう。

3-1、ブラッシング方法

加齢による皮膚ダメージが生じている老犬の皮膚は、大変デリケートです。ブラッシングをするときは、余分な力を入れず被毛の流れを整える要領で行いましょう。

長毛の犬種にはピンブラシ、短毛の犬種にはラバーブラシ、艶出しには獣毛ブラシ、毛玉がある箇所はスリッカーブラシがおすすめですが、いずれの場合も強く皮膚を擦るようなことがないよう注意しましょう。

また、低刺激成分の犬用ブラッシングスプレーを同時に使用すると櫛通りがよくなり、毛玉を除去しやすいのでおすすめです。ブラッシングは長毛種だけでなく短毛種も、週に数回は習慣化して欲しいトリミング方法です。

老犬になり新陳代謝が低下すると、皮膚トラブルの増加が目立ちます。こまめなブラッシングは皮膚に適度な刺激をあたえ、新陳代謝の促進につながります。また、換毛期を中心に無駄な抜け毛を除去することで、皮膚や被毛の通気性も改善されて皮膚トラブル予防効果も期待できます。


3-2、シャンプー方法

シャンプーは月に1回程度が目安です。ただし、冬季など空気の乾燥する季節や寒い季節、汚れや臭いが目立たない場合は、2ヵ月に1回でも可。乾燥しがちな老犬の皮膚を守ってあげましょう。

免疫力が低下している老犬の場合は、シャンプーは小型犬であれば20分以内、中型犬は30分以内、大型犬でも30分前後を目途に終え、タオルドライを入念に行います。

自宅の閉め切った浴室は湿度が高く室温も上がりやすいので、出来る限り短時間で終えて老犬の体や心の負担を最小限にとどめましょう。シャワーで体を湿らせる直前にブラッシングを済ませ、余計な抜け毛や毛玉、絡まりは事前に取り除いておくと、さらに効率良くシャンプーやドライができます。

ただし、老衰状態が重度の場合や病気を発症している場合は、万が一のことを考え事前に獣医師に相談することが大切。その他、シャンプーを行う際は、シャンプー液やリンス液が目や鼻、耳や口などに入らないよう十分注意して、液剤を流すときは35~37度程度のぬるま湯で流しましょう。お湯の温度は、愛犬の様子を見ながら都度調整が必要です。

身体の都合上シャンプーが困難だと判断した場合は、拭くだけで汚れが除去できるシャンプータオルの活用がおすすめです。こちらもシャンプー同様、目や口、耳、鼻などにタオルの液剤が入らないよう注意しましょう。


3-3、爪切りの方法

爪切りの目安は月に1回ですが、爪が伸びる速度やすり減る度合いは犬によって異なります。犬が歩行する際に地面と爪が接触してカチカチ音がなる場合は、爪切りを行いましょう。

散歩や外出の機会が減っている老犬の場合、爪が地面と摩耗することが少なくなるため爪が伸びやすくなります。伸びすぎた爪は、体を掻くことで皮膚や目など様々な部位に傷をつけたり、歩くときに関節に余計な負担をかける原因になります。

爪切りは従来のギロチン型以外にも電動ヤスリ型やハサミ型など様々な形状の商品がありますが、爪内部の血管を切ってしまわないように十分注意が必要。上記写真を参考に、適切な方法でカットしましょう。


3-4、肛門腺絞りの方法

肛門腺絞りのお手入れ目安頻度は、月に1回程度です。なお、老犬であっても自身の力で便と一緒に分泌液を排泄できる犬の場合は肛門腺絞りは必要ありません。

分泌物の匂いが強いのでトリミングやシャンプーの際に同時に済ませるとよいでしょう。肛門を中心に三角形を角にあたる部分に軽く指をあて、押し上げるように肛門腺の分泌液を絞りだします。

ただし、短尾の犬種(コーギー、パグ、フレンチブルドック)などは肛門腺の位置が深いことが理由でプロのトリマーであっても苦戦することがあります。自宅で行うのが難しい場合は、動物病院で処置してもらいましょう。

3-5、デンタルケアの方法

老犬になると口臭や歯垢、歯石の悪化が深刻化して口腔内の病気を発症しやすくなります。

歯磨き習慣が無い犬の場合、スムーズに自宅でのケアを受け入れてもらえないので、老犬のデンタルケアは指に巻き付けるようなガーゼタイプの歯磨きを使用するなど、老犬にとっても飼い主さんにとってもストレスにならないよう工夫しましょう。歯磨きは何より日々の継続が大切です。


4、寝たきりの老犬の被毛ケアに役立つ商品

老犬の被毛ケアは、何より犬に精神的・肉体的負担がかからない方法で行うことが大切です。ここでは、寝たきりの老犬の被毛ケアに役立つ商品をいくつかご紹介致します。

4-1、A.P.D.C ウォーターレスシャンプー

水を使用せず気になる汚れを除去することができます。自然乾燥する製品なので、使用後のドライヤーも必要ありません。全身はもちろん口やお尻などの部分的なお手入れにも活用できるのが特徴。


4-2、アース JOYPET ジョイペット ボディータオル

安全性を考えて作られているウエットシートです。大判サイズで気になる部分を軽く拭いてあげたい時に重宝します。


4-3、ペット グルーミング グローブ

簡単に抜け毛を取り除き、犬にもストレスがかかりにくいのが特徴。グローブ型なので、お腹や首、内またなどブラシが届きにくい箇所もブラッシングできます。


4-4、APDC グルーミングスプレー

保湿成分が櫛通りを滑らかにし、絡まりやすい被毛でもスムーズにブラッシングができるため、老犬に過度な負担をかけません。冬など乾燥する季節の静電気対策にも有効です。


まとめ

今回は、トリマー免許保有者に老犬のトリミングの危険性について解説していただきました。老犬は病気を発症していなくても、老衰によって免疫力が低下していたり、四肢、腰などの体の機能が低下していることがあります。

十分ケアには注意を払い、愛犬が病気発症中の場合や老衰が見られる場合は獣医師に相談してから適切なケアを行いましょう。その他、認知症や食事など、老犬との暮らしに役立つ情報に関しては【老犬介護ページ】をご確認ください。


WRITER Profile

記事作成者:  大谷 幸代

トリマーやペット食育士、愛玩動物飼養管理士など多数のペット資格を保有。国内最大手のペット関連企業にてプロジェクトリーダーとして活躍。


記事監修・編集者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士や救命士、介護士資格など保有。他社の記事監修・作成も多数請け負う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.

成犬・老犬の食欲不振の対処法〔管理栄養士解説〕

目次:
1、食欲がない時に考えられる病気
2、老犬に多い食欲不振の原因
3、愛犬に食欲がない時の対処方法

飼い主にとって愛犬の食欲不振は本当に心配なもので、私も愛犬ががんによる食欲不振や抗がん剤副作用による食欲不振になったときは大変気を使いました。老衰だけでなく、病気などが引き金となり成犬であっても食欲不振になることがありますが、今回は全般的に犬に食欲がない時の対処法について幅広くご紹介致します。

1、食欲がない時に考えられる病気

人間であっても身体の不調によって食欲が低下しますが、犬の場合も同様に病気によって食欲不振になります。「食欲がない」という症状を伴う病気は本当に数多くあるので、まずは獣医師に相談して適切な検査を。食欲がない根本的原因を突き止めて、原因に応じた対処法を探ることが何より大切です。

参考までに「全く食欲がない」ような場合は、歯肉炎や歯周病などの口腔内の病気や鼻炎を中心とする鼻腔(または副鼻腔)に関連する病気、特発性の三叉神経炎や悪性腫瘍などが考えられますが、この場合も他に考えられる病気が数多くあるので、早めに動物病院で検査を行いましょう。

【犬の食事管理の記事一覧】

2、老犬に多い食欲不振の原因

老犬の場合、口腔内の病気が原因で痛みや炎症が生じて食欲不振になる犬も多く、その他にも、筋力の衰えや関節炎が生じやすかったり足腰の病気を発症しやすいことから、「食事が摂りにくいこと」が原因で食欲不振になるケースもあります。老犬の食事に関しては別途ご紹介させていただきますが、食欲低下を引き起こさないよう犬の食事のしやすさにも配慮が必要です。

また、老犬は消化器官の機能にも問題が生じやすく、消化率の低下や代謝能力の低下。歯が悪くなることで唾液分泌量が減る、味覚を中心とした感覚器の機能低下などが原因で食欲不振になることもあります。老犬だからと思ってしまいがちですが、老犬だからこそ病気の可能性についても幅広く考えて定期的な健康診断を受けさせましょう。

3、愛犬に食欲がない時の対処方法

3-1、水分量の多い食事に切り替える

食欲がない時は、水分量の多いウェットフードを試してみると良いでしょう。ドライフードをぬるま湯でふやかすことで香りを高め、犬の嗜好性を高めます。

栄養素が崩れやすいという観点からドライフードをふやかす場合は熱湯でふやかさないよう注意が必要。人の手の温度より少し温かい程度のぬるま湯で5分~10分程度ふやかして、冷ましてから犬に与えます。

3-2、反応しやすい食事に切り替える

犬にも味覚がありますが、人ほど複雑(敏感)ではないと考えられています。しかしながら、犬の「甘味」に反応する味覚細胞はとても発達しており、細胞が存在する部位が多いのが特徴です。そのため、肉や魚に多く含まれているアミノ酸、果糖、乳糖などに対して犬は敏感に反応します。

愛犬に食欲がない時は、動物性たんぱく質が豊富な肉や魚主体のフードに切り替えたり、果実をジューサーやミキサーで細かくして食事にトッピング。ヤギミルクをトッピングしてみたりと、愛犬が反応しやすい食事に切り替えて様子を見ると良いでしょう。

3-3、流動食など食事のタイプを変える

口腔内の健康状態が悪くて食欲がない場合(噛むことに支障がある場合)や、病気によって物理的に食べることができない犬の場合は、シリンジを利用して流動食を与える必要があります。また、シリンジを使用しても物理的に飲み込むことができない場合、積極的食事摂取を目的とするのであれば獣医師に栄養チューブの装着を勧められるケースもあります。

老犬を中心に強制給餌に関しては飼い主さんの考え方によって大きく見解が異なるので、獣医師に相談することはもちろん、愛犬のことをしっかりと考えて飼い主さん自身が強制給餌の必要性について考えることが大切です。

3-4、適切な運動管理で食欲を高める

健康状態に問題がない犬の場合、単純に運動不足によって食欲不振に陥っているケースもあります。犬によって必要運動量は個体差がありますが、一般的には小型犬であれば1回30分程度を1日1~2回、中型犬であれば1回30分~1時間程度を1日2回、大型犬であれば1回30分~2時間程度を1日2回目安です。

先述でも述べましたが、これはあくまで一般的な目安であり犬種や年齢、生活環境などによって適切な運動量は犬によって大きく異なります。何より愛犬の様子を見ながら愛犬に合った運動量を見極めることが大切ですので、愛犬の運動量が適切であるかを今一度考え直してみましょう。

3-5、食事のしやすさを配慮する

老犬や足腰の病気、ヘルニアなどを発症している犬の場合、食事がしにくいことから食欲不振になるケースもあります。このような犬の場合は、食事が寝床(犬の生活環境)から遠くないか、食事の姿勢が辛そうでないかなど配慮して、必要に応じて食事場所を変えたり、犬用の食器台(食事テーブル)で高さ調整するなどの配慮が必要です。

食器台(食事テーブル)を利用する場合は、犬が四肢で立ったときにほんの少しだけ首を下げた位置に食器がくる高さ(胸元の少し上あたり)が良いでしょう。最近では数段階に高さを調整できるものや角度調整ができるものもあるので、愛犬の食べているときの様子を見ながら調節してあげることをおすすめします。

その他、老衰によって味覚や嗅覚などの感覚器が衰えている場合は、ウェットフードなど香り豊かな食事を心がけ犬の鼻先に食事を運んであげるなどの配慮が必要です。

3-6、状況に応じて高栄養缶を与える

老犬を中心に、体力がなくて長時間食事を食べることができない犬もいます。シリンジを使用した強制給餌に関しても長時間行うと犬も疲れてしまうケースが多く、そのような場合は犬の状況に合わせて少量でエネルギーを補給できる高栄養缶を与えるなどの工夫も必要です。極端に体力がない老犬の場合は、獣医師に食事に関して相談することをおすすめします。

3-7、精神的ストレスがないか見直す

ただ単に甘えによって食事の好き嫌いをする犬もいますし、精神的なストレスによって食欲不振になってしまう犬もいます。犬のストレスに関しては特に注意が必要で、飼い主が気づかないような些細な環境の変化(飼い主の変化・同居犬の変化・住む場所の変化など)によってストレスを感じる犬もいます。

また、犬のストレス要因で多いのが飼い主との好ましくない関係性であるため、愛犬との十分なコミュニケーションが行えているか、愛犬に接するときの態度が適切であるかについても今一度見直すことが大切です。

【犬の食事管理の記事一覧】

3-7、必ず獣医師に相談する

病気が食欲不振の原因となっている場合、または既に病気発症中の犬の場合は、必ず食欲不振について獣医師に相談しましょう。特に悪性腫瘍(がん)などを発症しているときは、抗がん剤の副作用によって食欲がなくなることが多いので注意が必要です。

その他、抗がん剤に関わらず末期のがんを中心に重度の病気を発症している犬のケースでは、痛みや不快感によって食欲不振が引き起こされていることも多く、その場合は食欲増進剤などの投与が効果的。愛犬の状況に応じて、副作用など含め獣医師に相談してみることをおすすめします。


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記事作成者:  望月 紗貴
犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。老犬介護士、犬の管理栄養士資格を中心に多数ペット資格を保有。他社の記事監修・作成も請け負う。

老犬の食事|切り替えるタイミングや注意点〔管理栄養士監修〕

目次:
1、何歳から老犬の食事に切り替える?
2、老犬の食事で注意したいこと
3、腎臓病(腎不全)の老犬の食事
4、それぞれの老犬に適した食事を!

老犬の食事に切り替えるタイミングについては、悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか?
最近では老犬用の市販のドッグフードの種類も増えましたが、老犬用ドッグフードに「7才~」というように年齢が表記されているものを多く見かけ大変危険だと感じております。一概に老犬と言っても健康状態や運動量低下の有無は犬によって異なり、ましてや老犬年齢さえも犬によって大きく差が生じます。

今回は、老犬の食事に切り替えるタイミングや注意したいことを中心にご紹介致します。

1、老犬の食事に切り替えるタイミング

1-1、7才から老犬の食事に切り替える?

老犬と一言でいっても犬種によって老犬期が始まるライフステージは異なり、たとえ同じ犬種であっても生活環境や遺伝子的な背景から多かれ少なかれ個体差が生じるのが特徴です。基本的に犬は10才~(大型犬は8才~)が老犬であると考えられていますが、ペットフード業界では老犬用のドッグフードを「7才以上」と表記することも多くあります。

専門家によっても老犬年齢は見解が異なり、老犬になる年齢に関して個体差が大きい犬にとってはその定義はあまりに曖昧。そのため、老犬の食事に切り替えるタイミングは犬によって大きな差が生じます。

1-2、犬種平均寿命の75%を目安

老犬の食事について考えるときに、犬種別の平均寿命を調べてその年齢の75%を老犬年齢の目安にするという方法もあります。この場合も、愛犬の運動量が変わっておらず老犬特有の病気などの発症も見られない場合、大幅に食事内容を変更する必要はありません。しかし、関節の健康維持を中心に老化予防のために(※1)機能性成分を食事に取り入れる際、この老犬目安年齢は大いに役立ちます。

愛犬の老化予防を考えている飼い主さんは、犬種別の平均年齢から老犬年齢目安を割り出して、愛犬に老化症状がみられる前に対策を行うと良いでしょう。

(※1)機能性成分|基本的には犬の生命活動に必須ではないが、健康維持を目的とした機能的効果が期待される成分

【犬の食事管理の記事一覧】

1-3、愛犬の様子を見て切り替える

老犬の食事に変更するタイミングは、愛犬の様子を見ながら考慮するのが一番です。ときどき7才を超えた頃から老犬用の低カロリードッグフード・低タンパク質ドッグフードに切り替える飼い主さんを見かけますが、運動量に変化が見られない老犬にこのようなドッグフードを与えるのは危険です。

愛犬に老化のサインが見られたら老犬用のドッグフードや手作りご飯に切り替えましょう。

1-4、こんな変化が見られたら?

運動量の低下をはじめとし老衰症状が見られる・老犬に多い病気を発症するなどの変化がある場合は、老犬用の食事に切り替えましょう。

老化症状はゆっくりと進行するものも多く、飼い主さんが愛犬の変化や病気の兆候に気づきにくいので注意が必要です。また、病気の発症によってドライフードや手作りご飯などの食事を変更する場合、獣医師に相談してから愛犬に適した食事に切り替える必要があります。

・老化症状|睡眠時間が増える 運動量が低下する 食欲が低下する 食べても痩せる 白い被毛が増える 呼びかけに反応しない 口臭が目立つ 爪の伸びが速い 夜泣き 昼夜逆転 多飲多尿など
・老犬に多い病気|四肢・関節の病気 認知症 腎不全 すい臓炎 糖尿病 白内障 悪性腫瘍など

2、老犬の食事で注意したいこと

2-1、エネルギー量に注意する

運動量が低下している老犬の場合は基礎代謝が同時に低下します。そのことから、体に必要なエネルギー量(エネルギー要求量)が適切な運動をしていた成犬期と比較するとおおよそ20~30%程度減少するといわれています。この数値は老犬の状態によって多少異なりますが、いずれにせよ運動量が低下している犬の場合は過度なエネルギーを食事に含めないよう注意が必要です。

エネルギーを供給するための栄養素としては、炭水化物、脂肪、蛋白質の3つですが、老犬の食事に切り替える場合はこれら3つのうち、炭水化物と脂肪が調整されたものを選ぶと良いでしょう。

2-2、炭水化物の少ない食事

エネルギー量に配慮された老犬の食事に切り替える場合、単純にカロリーが低いものを選ぶのではなく、炭水化物の含有量が少ないものを選びましょう。手作り食の場合は、同じエネルギー量であるならば米類やイモ類などを使用せず、代わりに犬の消化能力に適した動物性タンパク質を与えることをおすすめします。

炭水化物に関しては犬の体への必要性が議論されることもありますが、エネルギー要求量が低下している犬の場合は極力炭水化物を使用していない(含有量が少ない)ドッグフードを選びましょう。犬のライフステージに関係なく、炭水化物の多い食事は犬の消化器官に負担をかけやすく肥満の原因にもなり得ます。

2-3、タンパク質は老犬にも大切

多くの老犬用ドッグフードで、動物性タンパク質量を大幅に減らしているのを見かけますが、運動量が低下した老犬であっても動物性タンパク質は重要な栄養素です。タンパク質はアミノ酸が多数結合した化合物で、犬の臓器や筋肉を中心に体を構成する上で大切です。

中でもアミノ酸は犬の骨格筋を形成するために重要な栄養素で、関節をまたぎ骨格につくことで体を支えたりしています。老犬の場合、運動量低下によって肢・関節の力が弱くなる傾向にあるため、適切な動物性タンパク質で骨格筋の消失を防ぐ必要があります。その他、アミノ酸は病気と闘う上でも大きな役割を果たします。免疫力が低下しやすい・老衰によって病気を発症しやすい老犬だからこそ、適切・良質な動物性タンパク質を食事に含めましょう。

2-4、消化吸収性に優れた食事

免疫力の向上を目的とし、老犬は特に消化吸収性に優れた食事に配慮する必要があります。犬の腸には免疫細胞が多数集まっており、腸を健康に維持するということは免疫力を上げるために役立ちます。老犬は免疫力低下によって病気と闘う力・対抗する力が衰えやすいので、ドライフードであれば腸内環境の健康維持に役立つ成分が含まれているものや良質な動物性タンパク質が豊富に含まれているものを選びましょう。

手作りご飯を与えている場合は、適度な食物繊維に加えて良質な生肉や魚を使用するなど消化吸収性に優れた食材を取り入れる必要があります。ヤギミルクやヨーグルトを少量活用するのも良いでしょう。

2-5、老犬の食事には機能性成分を追加

老犬の場合は、食事にサプリメントを始めとした機能性成分を追加することをおすすめします。犬も人間同様に老衰によって体の様々な機能に衰えが生じ、病気も発症しやすくなります。犬種ごと発症しやすい病気や体の構造上かかりやすい病気などに配慮して、サプリメントを活用するなど機能性成分を老犬の食事に取り入れることをおすすめします。

我が家の愛犬の場合(ゴールデンレトリバー6才4ヶ月)、股関節形成不全や悪性腫瘍が心配ですので股関節の健康維持に役立つサプリメントを活用。食事には免疫力を維持・向上するためのキノコ類(βグルカン)やブロッコリースプラウトなどを取り入れるようにしています。

3、腎臓病(腎不全)の老犬の食事

老犬の食事に動物性タンパク質が重要であると説明しましたが、腎臓病を発症している老犬や腎臓の機能低下(腎不全)がみられる老犬の場合はタンパク質の制限が必要です。腎臓病の犬用療法食ではタンパク質がカットされており、(※2)AAFCOの成犬に必要なタンパク質量を参考に考えると、腎臓の機能低下がみられる場合の療法食(制限食)としてはタンパク質量14~15%(※3)DMが目安です。
ちなみにAAFCOでは老犬に対する栄養基準を設定していませんが、一般的には腎臓に問題がない老犬の総合栄誉食基準としてはタンパク質19~22%DMを目安にすると良いでしょう。

老犬の場合は慢性の腎臓病が非常に多く、腎臓に負担がかかりにくい低タンパク質でナトリウムとリンが制限された療法食がおすすめです。手作りご飯のタンパク質源としては、新鮮な卵や赤身などの良質なものを選ぶと良いでしょう。その他、腎臓に問題がある犬に関しては、事前に獣医師に食事管理について相談して定期的に検査。検査結果をもとに健康状態を確認しながら食事内容を調整するのが一番です。

(※2)AAFCO(米国飼料検査官協会)|ペットフードの栄養基準・ラベル表示基準を制定している団体
(※3)DM|乾物量(栄養濃度を比較する上で乾燥させて水を除いた後の値)

4、それぞれの老犬に適した食事を!

今回は老犬の食事について、切り替えるタイミングや食事のポイント、腎臓に問題が生じている老犬の食事についてご紹介致しましたが、一言で老犬といっても適した食事は犬によって異なります。

老犬の食事管理で一番大切なことは、年齢や犬種、ドッグフードの品質を基準に食事を選ぶのではなく、その犬に適した食事であるか否かです。愛犬の体に合った高品質なドッグフードを与えることができるのが理想ではありますが、その前に定期的な健康診断や獣医師のアドバイスをもとに愛犬の体の状態をしっかりと把握。その犬に合った食事がどのようなものかを考えたうえでドッグフードを選びましょう。

【犬の食事管理の記事一覧】

参考文献:
日本小動物獣医師会,動物看護のための小動物栄養学,2006.
株式会社緑書房,犬と猫の栄養学,奈良なぎさ,2016.
パイインタ-ナショナル,イヌ+ネコ家庭動物の医学大百科,動物臨床医学研究所,2012.
株式会社矢沢事務所,もっともくわしいイヌの病気百科,学研プラス,2005.
老犬介護士育成専門講座教材,一般社団法人日本キャリア教育技能検定協会 学校法人つくば国際ペット専門学校

食事管理に関しての記事一覧↓

https://true-dog-lover.com/health-care-of-dogs/dietary-management/


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犬の認知症対策、予防法やおすすめサプリ〔老犬介護士監修〕

目次

1、犬の認知症とは?原因や症状
2、犬の認知症の予防や対策は?
3、犬の管理栄養士が選ぶおすすめサプリ
4、認知症の犬の介護で大切なこと
5、ペットセラピストが選ぶおすすめアロマ

動物医療の発展やドッグフードの高品質化、室内飼育を中心に飼い主さんの犬に対する意識の向上など、様々な要因で犬の平均寿命が年々延びています。『アニコム家庭どうぶつ白書2019』では、ここ10年程度で犬の平均寿命が8.4ヶ月も延びていることが報告されています。
このように犬の平均寿命が延びることは非常に嬉しいことですが、それと同時に愛犬の認知症(痴呆)を中心とした老犬介護に悩む飼い主さんが増え続けているのも事実です。

犬の認知症とは?原因や症状

犬の認知症(痴呆)の原因は、残念ながら現段階で解明されていませんが、歳をとって脳に何かしらの変化が生じることで起こる脳神経系の病気であると考えられています。認知症の症状でよく現れるのが、夜泣きや徘徊、食事の過剰な催促や粗相などですが、中には飼い主さんのことを認識できなくなる犬もいます。
犬の脳の病気の一つに、脳が圧迫されることで様々な症状を引き起こす「水頭症」と呼ばれる病気がありますが、この病気で大脳皮質が圧迫された場合にも痴呆の症状は現れます。

犬の認知症の予防や対策は?

一言で認知症(痴呆)といっても、犬によって現れる症状や度合いは異なります。認知症は、対策を行ってもすぐに効果が見られるとは限らないので、根気よく愛犬のサポートをしてあげましょう。

・規則正しい生活を心がける

夜間の徘徊行動や夜泣きは昼夜逆転の生活が影響しているケースが多いため、規則正しい生活をさせることが認知症対策に効果的です。老犬は日中の睡眠時間が長くなる傾向にあるので、体に負担がかからないように適度に日中起こしてあげることが大切です。日光浴を20分~30分程度させてあげたり、知育おもちゃなど活用してコミュニケーションを図りながら遊んであげるもの良いでしょう。
長時間紫外線を浴びるのは皮膚がんリスクを高める原因になりますが、適度な日光浴は免疫力が低下しやすい老犬の健康維持に欠かせません。夏場などの暑い時期や暑い時間帯の日光浴に関しては、熱中症リスクが高まるので絶対にやめましょう。

・犬の生活環境を見直す

徘徊行為をする犬の場合、徘徊時に犬に危険が及ばないよう円形サークルを利用するなどの工夫が必要です。床を滑りにくい素材にするなど愛犬が安全に歩ける環境をつくってあげましょう。その他、夜間は安心してしっかりと眠れるように、静かで快適な寝床を準備。温度や湿度を快適に保つなど愛犬の様子を見ながら生活環境を見直してあげることが大切です。

・コミュニケーションの方法を変える

老犬は老衰や病気による体の不調、不快感で噛みついたり、目や耳の衰えが原因で触られることに恐怖を感じて噛みつくことがあります。認知症で飼い主さんを認識できない犬もいるので、噛みつきがひどい場合はグローブを着用するなどして穏やかに対処してあげなければいけません。コミュニケーションを図るときは声掛けを行い、老犬が聞こえていないようであれば、犬が飼い主さんを目で判断できるようにアイコンタクトをしましょう。
前触れもなしに触れると恐怖心で噛みつく危険性があるので、犬の後方から急に触るようなことはしてはいけません。

・生活に適度な刺激を加える

人間にも同じことがいえますが、認知症を中心に脳の老化予防、健康維持には適度な刺激も必要です。知育おもちゃで遊ばせて脳に刺激を与えたり、普段と違う場所でお散歩をさせるなど、日中に適度に刺激を与えることが認知症対策に効果的です。
犬は嗅覚で多くを判断する生き物なので、色々な匂いを嗅がせることで脳を活性化させることができます。普段とは違う場所で嗅いだことのない匂いを嗅がせる時間を作り、夜泣きや夜間の徘徊対策を試みると良いでしょう。

・薬剤やサプリメントを活用する

状況に応じて獣医師に脳細胞を活性化させるための薬を処方してもらったり、サプリメントで必要な栄養素の補給を行うことで認知症対策を行うことができます。しかし、これらはすぐに認知症状が治まるというものではありません。動物病院では一般的には不飽和脂肪酸が含まれたサプリが勧められ、DHAやEPAを犬に摂取させることで夜鳴きをはじめとした認知症状の改善を試みます。
これらの不飽和脂肪酸サプリは、認知症状の改善だけでなく症状の進行を緩やかにするためにも効果的です。

・アロマオイルやレメディを活用する

認知症の老犬のみならず、犬のメンタルケアでよく使用されているのがアロマオイルやレメディです。精神安定や睡眠を促すために効果が期待できるものがあるので、活用するのも良いでしょう。

・最悪の場合は睡眠導入剤を検討する

様々な対策を行っても夜泣きが改善されない場合は、獣医師に相談の上睡眠導入剤を処方してもらうこともできます。しかし、睡眠導入剤は犬によっては効果が期待できないことがあり、副作用リスクについても考慮しなければいけません。睡眠導入剤を検討する際は、しっかりと獣医師に副作用リスクや薬の危険性について確認してから検討しましょう。

・防音ケージを活用する

最近では、夜泣きがひどいときに利用する防音ケージも販売されています。飼い主さんの睡眠不足や近所とのトラブルも深刻な問題なので、犬が防音ケージの中でリラックスできる状況であれば、利用するのも良いでしょう。

犬の管理栄養士が選ぶおすすめサプリ

犬の認知症(痴呆)に関しては、残念ながら動物病院での投薬やサプリなどで根本的に治すということは出来ません。サプリに関しても与えたからといって確実に効果が出るような保証はありませんが、少なくとも認知症予防や既にでている認知症状の進行を遅らせる、症状を緩和するためには効果が期待できます。

・犬用認知症対策サプリ DHAやEPA、フェルラ酸などをバランスよく配合『毎日一緒』

脳内の抗酸化作用や神経細胞保護などに効果的な「DHA」、血管性の認知症予防に効果的だと考えられている「EPA」、強い抗酸化作用が期待できる「フェルラ酸」など、認知症予防や進行を遅らせるために有効な成分がバランスよく配合されているのが特徴です。配合主成分は、DHA、EPA、亜麻仁油、フェルラ酸、イチョウ葉エキス、ビタミンE、ビタミンB12、ビール酵母などです。

・オメガに特化した認知症対策国産サプリ『MEDICAL OMEGA3・6・9』

MEDICAL OMEGA3・6・9は動物病院でも取り扱っていることがあるサプリで、主な原材料はヒマワリ油やDHA含有精製魚油、亜麻仁油などです。脳の健康維持に役立つオメガ3(ドコサヘキサエン酸)を中心に、オメガ3との相乗効果が期待できるオメガ6をバランスよく配合。それに加えて悪玉コレステロールを減らす効果が期待できるオメガ9を配合した、老犬に優しいサプリです。

・脳神経の働きサポート成分やリラックス成分が配合された『DHC犬用国産サプリ おだやか』

DHC犬用国産サプリおだやかは、認知症対策サプリとして販売されている商品ではありませんが、脳内のリラックス成分であるギャバやギャバの働きをサポートするためのザイラリア、脳や神経の組織の働きをサポートするためのレシチンなど認知症の犬に効果が期待できる成分が含まれています。大手メーカーの犬用サプリで、愛犬に安心して与えることができます。

・夜泣きが激しい認知症の犬に最適のサプリ『meiji メイベットDC』

愛犬の夜泣きや夜の徘徊で悩んでいる飼い主さんにおすすめのサプリです。主成分にDHAとEPAのオメガ3脂肪酸が配合されているため、神経伝達サポートに効果が期待できます。老犬の不安やストレス緩和を促し、より快適な睡眠をサポートするために役立ちます。オメガ3脂肪酸はその他にも、老犬の関節痛緩和や毛ヅヤ対策にも効果的です。

認知症の犬の介護で大切なこと

認知症(痴呆)の犬の場合、他の病気とは少し異なり「犬の行動変化」が生じやすいため、飼い主さんが精神的にダメージを受けやすいのが特徴です。それに加えて夜泣きや深夜の徘徊行動で、眠れないという身体的なダメージも加わります。
愛情深く老犬と真剣に向き合うことはもちろん大切ですが、苛立ちなどの負の感情で愛犬のお世話をすることは、犬にとっても好ましい状態ではありません。介護ノイローゼになってしまう飼い主さんもいるので、一時的にペットシッターや老犬介護士にお世話をお願いして、休憩をとりながら老犬と向き合うことも大切です。
認知症の犬の介護では、何より飼い主さん自身が「精神的にも肉体的にも良いコンディションで介護できる状態」であることが重要なのではないでしょうか。

ペットセラピストが選ぶおすすめアロマ

近年では認知症に関わらず、愛犬のメンタルケアのために犬用アロマが活用されるようになりました。ここでは、認知症の犬におすすめのメンタルケア効果や快適な睡眠サポートに効果が期待できる、アロマやレメディをご紹介いたします。

・ストレス緩和におすすめ「犬用レスキューレメディ」

レスキューレメディは副作用や依存性の心配がないレメディで、愛犬の口の中に垂らしたり、体につける、生活空間にスプレーすることでストレスの緩和を促します。人間用も販売されているので、認知症介護などストレスのかかりやすい時期は愛犬と一緒に使用するのも良いですね。

快適な睡眠を促す『ジェモセラピー 犬用ライムツリー (神経用)』

神経の健康維持サポートが期待できる自然療法のハーバルサプリメントです。ストレス緩和やリラックス効果が期待できるため、快適な睡眠サポートに活用したいアイテムです。  

安定した睡眠サポートが期待できる『Azmira カーム&リラックス 1オンス犬用』

犬の神経の動揺や興奮状態を和らげることで、安定した睡眠を促します。スカルキャップハーブ、オトギリソウ(芽)、キンセンカ(花)、カモミール(花)などの原材料が使用されています。

愛犬に快適な老後生活を

老犬の認知症状に悩む飼い主さんが年々増加しており、老犬介護問題も深刻化してきました。
認知症に関しては、効果がすぐに期待できるような特効薬や治療法などは現段階ではありませんが、規則正しい生活や適度に刺激のある生活。それに加えてサプリなどを活用することで症状が改善したり症状の進行を緩やかにしたりすることができるケースもあります。
認知症の老犬介護は飼い主さんももちろん大変ですが、愛犬も精神的にも肉体的にもダメージを受けやすい状況下であることを忘れず、少しでも愛犬が快適な老後生活を送ることができるようにサポートしてあげましょう。