dog brushing

犬の痙攣の自然療法は可能?癲癇発作の原因や薬の副作用

昨日、仲良しのお犬友だちのSNSコメントを見て、色々心配になって(勝手に)犬の癲癇発作の原因や症状、自然療法が可能か否か、薬の副作用等、色々と調べてみました。

現在、写真の愛犬ボーダーコリーも癲癇発作を起きにくくするための薬(抗てんかん剤)を飲んでいますが、副作用が起こらず、薬を飲み始めて何年も発作がほぼ完全に起こらない状態だったので安心しきっていました。

running bordercollie

しかし、お友達のお犬様が同じ薬で副作用が大きく出てしまっているようなので、自宅にある書籍を色々と見てみて、せっかく調べてので、愛犬の癲癇発作で悩む飼い主様方のためにブログ記事に残そうかと思い、このブログを書いています。

参考文献:

・家庭動物の医学大百科, 山根義久, 2012, 図書印刷株式会社
・獣医からもらった薬が分かる本, 浅野隆司監修, 2012
・https://shinkei.com/pdf/20170122_4.pdf 「BMC Veterinary Research (2015)」

犬の癲癇発作の原因は筋肉の伸縮によるもの

epileptic seizures of border collie

犬の癲癇は、脳から体に指令を送るための中心的な働きをしている「中枢神経」系部分が過剰な興奮状態に陥り、筋肉が収縮してしまう病気ですが、なぜ過剰な興奮状態になるのかは明確になっていません。

ただし、病気などの脳疾患によって引き起こされる癲癇もあります(症候性癲癇)。

癲癇発作には「部分発作」と「全般発作」の2種類がある

専門書だと難しい用語が並んでいますが、要は「部分発作」の場合は運動機能に関連する脳部分だけに興奮状態が引き起こされるので、一例として足のみ等、限定した部分が痙攣します。

それに対して、「全般発作」の場合は、過剰な興奮状態が脳の一部分ではなく広範囲で引き起こされ、体を動かすための骨格筋に痙攣が引き起こされるということになります。

症候性癲癇の場合の原因

症候性癲癇の場合は、以下のような脳の病気が原因で癲癇発作が引き起こされますが、以下はあくまで一例です。

・脳の「中枢神経」部分に炎症が生じる脳炎
・頭蓋骨の内側に生じる脳腫瘍
・脳が圧迫されて構造や機能が正常に働かなくなる水頭症

癲癇が起こる犬に一般的に使用される薬「ゾニサミド」

愛犬ボーダーコリーの場合は、症状から見た限り「部分発作」を繰り返しているように見受けられましたが、ゾニサミドという薬で症状は起こらなくなりました。

しかし、副作用が出る犬もいるようなので注意が必要です。

ちなみにゾニサミドは、愛犬23kg程度で朝晩1錠ずつ投与しています。

抗てんかん剤ゾニサミドの基本情報

抗てんかん剤で使用されるゾニサミドは、人においては癲癇が原因で引き起こされる精神の神経症状を軽減させる、または抑えるために使用される薬です。

ちなみに、愛犬の場合は担当獣医師から癲癇発作を止めるための薬ではなく、あくまで発作が起こりにくくなるようにキャパを高めるために使用する薬だという説明を受けました。

生涯飲み続けないといけない旨の説明も受けております。

抗てんかん剤ゾニサミドの副作用

愛犬の場合は現状では副作用が見られないものの、注意したい副作用の一例として以下が挙げられています。

また、すでに腎臓や肝臓の機能不全がみられる犬に関しては、投与に細心の注意を払わなけれないけません

・運動能力の低下や嘔吐
・腎臓の機能が急激に低下してしまう急性腎不全
・元気がなくなる、食欲低下、嘔吐、下痢などが引き起こされやすい肝機能障害
・尿路のどこかしらの箇所に結石ができてしまう尿路結石

ちなみに、2015のBMC Veterinary Researchによると、AEDs(=抗てんかん薬:anti-epileptic drug)を投与することがヨーロッパでも癲癇の治療において主流だと記述されており、第一選択薬は部分発作の場合には以下通りとなっているようです。

部分発作→カルバマゼピン
全般発作→バルプロ酸

愛犬が使用しているゾニサミドについては、第二選択薬として挙げられていますが、日本とは異なりヨーロッパにおいてはゾニサミドの使用についてはあまり推奨されるような化学的根拠はないようです。

ゾニサミド自体が日本で作られた薬であるため、使用例が少ないことが原因かもしれませんね。

部分発作→ゾニサミド、レベチラセタム、ラモトリギンなど
全般発作→エトスクシミド、ラモトリギン、ラモトリギン、フェノバルビタールなど
※全般発作に使用される薬については、さらに細かな発作の種類によって薬が選ばれる

犬の痙攣の自然療法はほぼ不可能

cute-border-collie

「犬、癲癇」で検索キーワード数を調べると、「自然療法」という関連単語が出てきたのであえて書きますが、犬の癲癇に関しては自然療法で治ることはほぼないでしょう。

そもそも自然療法は、個々の犬が本来もっている「自然治癒力」などの自己の力を高めて健康に近づける療法ですが、犬の癲癇については現段階ではそのような科学的根拠や調査結果は存在しません

ただし、愛犬の体をいたわるための食事療法は必要なのではないでしょうか。

特に、脳の健康維持に役立つ以下のような栄養素は、個人的に愛犬にも積極的に取り入れています。

・ブドウ糖(愛犬の脳の活性化・疲労回復など):使用している食材一例としてバナナやカボチャなど
※果物のブドウは、犬に危険な食材ですので与えないようにしましょう。
・抗酸化成分(脳に存在する神経の酸化軽減など):使用している食材一例としてブロッコリースプラウトやキウイ、ビタミンCが豊富な果物など
・オメガ3脂肪酸(血液循環の健康維持など):サンマや亜麻仁油など

border collie

まとめ

今回は、お友達にSNSコメントをいただいたことをきっかけに、(勝手に)愛犬が飲んでいる薬やその副作用など調べてみました。

ゾニサミドは日本国内で作られた薬のためまだ科学的根拠を中心に海外情報も少ない薬ですが、日本では多く処方されている薬のようです。

犬の癲癇が増えているという調査報告も目にしましたが、一頭でも多くの犬が発作から解放されるよう、心から願っております。

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サイト運営者:  望月 紗貴(Saki Mochizuki)

一般社団法人愛玩動物健康管理協会 代表理事。『飼い主の意識の向上が愛犬の豊かな生活を導く』を理念とし、sCH Dog Centerのブログ専用サイトを開設。犬の管理栄養士、救命士、介護士など、ペット関連資格を多数保有。様々な企業のドッグフード開発やサプリメント開発、ペット用品の監修、ペット用品の開発コンサルタントを行う。

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バーニーズマウンテンドッグちょこ、SDMA検査を受ける

愛犬ちょこの血液検査でクレアチニン数値が安定せず、獣医師さんに勧めていただいた「SDMA検査」を受けました。腎臓病は犬の死因第3位に入ることが多いようなので、とても怖い&我が家は手作りご飯なので、もし腎臓の働きに異常があるなら早めに対処したいた思い・・・

SDMA検査とは?

SDMA検査は、慢性腎臓病の早期発見に役立つと言われている検査。例えばよく血液検査でCRE(血清クレアチニン)やBUN(血清尿素窒素)を指標にするが、これらの値が悪かったときには既に腎不全(腎臓の働きが75%以上失われている)が生じている状態なので、少しでも早く慢性腎臓病を発見するために有効な検査なのだとか。

「腎臓の75%以上が機能を失わなければ窒素化合物の濃度は上昇しないので、この検査で問題が明らかになったときにはかなり病気が進行している」

イヌの病気百科 矢沢サイエンスオフィス編より

対してSDMA検査の場合は、腎臓の働きがおおよそ40パーセント失われた時点で上昇すると言われているので、どうせ血液検査を受けるなら一緒にやっておきたい検査だと。

SDMA検査はどこで受けられる?

ちなみに、最近では検査機器を院内に置く動物病院も増えており、わざわざ外部検査結果を待たなくても良いらしい。検査キットも販売されるのではないか?なんて言われているが、現段階では不明。
愛犬ちょこの検査のときは検査機器は動物病院に届いていたが、ギリギリ設置していないタイミングだったので、外部検査に・・・

ちょこの結果は「8μg/dL」で参考基準値範囲内でした。良かった。一安心だけど、6才2か月なので定期的な健康診断の際、継続して一緒にSDMAも検査してもらおうと思っています。

参考文献:「家庭動物の医学大百科(山根義久 監修)」
引用・参考文献:「もっともくわしいイヌの病気百科(矢沢サイエンスオフィス編)」



ポイントが抑えられていて分かりやすい参考書。


人間の食材と同基準のものを使用。ドイツの「腎臓サポート」ドッグフード。


分かりやすく専門的な内容もしっかりと書いてある、お気に入りの参考書。


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