犬に必要なビタミンと食材〔犬の管理栄養士解説〕

愛犬に手作りご飯を作る方が増えてきましたが、作るときは犬に必要な栄養素について配慮して食材選びをする必要があります。今回は、犬の手作りご飯に必要な必須栄養素「ビタミン」とその食材についてご紹介致します。

なお、ここではビタミンの種類や欠乏・過剰によって起こりうる問題、食材を中心に紹介致しますので、犬の手作りご飯の栄養素配分の基本については【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。
その他の5大栄養素に関しては、【犬の食事管理ページ】で解説しています。


犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒

犬に必要な栄養素は、「たんぱく質」、「脂肪」、「炭水化物」、「ビタミン」、「ミネラル」の5大栄養素であり、これらに「水」を加えて6大栄養素と呼ぶこともあります。

手作りご飯やドッグフードでは、これら必要栄養素がある程度犬の体に適したバランスで配合されている必要があり、特定の栄養素が極端に不足すると欠乏症として体に何かしらの症状が引き起こされる可能性があります。

また、特定の栄養素が極端に過剰に含まれる食事によって、中毒症状が引き起こされることもあります。そのため、愛犬の健康維持のために作る手作りご飯では、必要栄養素や食材に関する基礎知識が最低限必要になります。

愛犬にも品質の高い食事を、と愛情を込めて作った手作りご飯のせいで愛犬の体調が悪くなるのでは意味がありませんので、基礎知識は身につけておきましょう。


犬の体に必要なビタミン

ビタミンは体内の合成だけでは犬の体における要求量を満たすことができないため、種類によっては食事からの摂取が必要不可欠になります。犬の手作りご飯においては、大幅に量が不足することで欠乏症が引き起こされる可能性が高まります。

その他、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)を中心に、与えすぎによって中毒症状を引き起こしやすいビタミンもあるため十分注意が必要です。

脂溶性ビタミンと水溶性ビタミン

犬に必要なビタミンは「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」に分けられ、それぞれ特徴が異なります。

脂溶性ビタミン(4種類)

ビタミンA(レチノール)
ビタミンD(カルシフェロール)
ビタミンE(トコフェロール)
ビタミンK(フィロキノン)

脂溶性ビタミンは犬の体に貯蓄しやすいため、手作りご飯では過剰(中毒)にならないよう注意が必要です。中毒性は、ビタミンAが一番強く、Dがその次、Kがその次になります。ビタミンEに関しては中毒性はほぼないと考えられています。

水溶性ビタミン(10種類)

ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB3(ナイアシン)
ビタミンB6(ピリドキシン)
ビタミンB12(コバラミン)
葉酸
パントテン酸
ビオチン
コリン
ビタミンC

水溶性ビタミンは犬の体に貯蓄しにくいため、手作りご飯では不足しないよう注意が必要です。


犬におけるビタミンの役割

ここでは、犬の体で脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがどのような役割を補っているのか説明します。

脂溶性ビタミンの役割

  • ビタミンA
    ビタミンA(レチノール)は犬の皮膚や粘膜、目の健康維持に必要な栄養素。ビタミンAの前駆体であるβカロテンには、抗酸化作用が期待できます。
  • ビタミンD
    ビタミンD(カルシフェロール)は、骨代謝や甲状腺機能の正常化などに必要とされる栄養素です。
  • ビタミンE
    ビタミンE(トコフェロール)は、抗酸化作用が期待できる栄養素で、犬の毛細血管の血行促進にも必要とされます。
  • ビタミンK
    ビタミンK(フィロキノン)は、骨の健康維持や血液凝固に関わる栄養素で、体に吸収しにくいが欠乏症はごく稀。犬においては、過剰症になりやすいのが特徴です。

水溶性ビタミンの役割

  • ビタミンB1
    ビタミンB1(チアミン)は、犬の神経機能を維持したり、糖質の代謝に関与する栄養素で、熱に弱いという特性を持っています。加工途中でビタミンB1が破壊されやすいため、総合栄養食表記のあるドッグフードであっても合成ビタミンを使用していることがあります。
  • ビタミンB2
    ビタミンB2(リボフラビン)は、アミノ酸や糖質、脂質などの代謝に関与しており、補酵素として働きます。その他、細胞を再生するためにも必要です。
  • ビタミンB3
    ビタミンB3(ナイアシン)は、犬のエネルギーの代謝に携わる補酵素で、安定性の高い栄養素だといわれています。欠乏症や中毒が引き起こされにくいのが特徴です。
  • ビタミンB6
    ビタミンB6(ピリドキシン)は、アミノ酸代謝における副酵素としての働きを補い、たんぱく質や脂質の代謝に関与している栄養素です。
  • ビタミンB9
    ビタミンB9(葉酸)は、「プテロイルグルタミン酸」とも呼ばれ、犬の体内でアミノ酸分解に関与しています。その他、DNAを合成するためにも必要とされます。
  • ビタミンB12
    ビタミンB12(コバラミン)は、赤血球を産生するために必要な栄養素で、犬の神経機能を正常に保つためにも必要とされます。
  • パントテン酸
    パントテン酸は、たんぱく質や脂質、糖質(エネルギー)の代謝を促進するために必要な栄養素です。
  • ビオチン
    ビオチンは、脂肪酸や糖などの代謝に関与する栄養素で、犬においては被毛の健康維持にも役立ちます。
  • コリン
    コリンは、脂質の代謝に関与する栄養素で、神経伝達物質(アセチルコリン)の構成要素としても犬の体には必要とされます。
  • ビタミンC
    ビタミンC(アスコルビン酸)は、抗酸化物質として犬の体内で働き、活性酸素を除去。体の酸化を防ぐために必要な栄養素です。その他、結合組織を強化するために重要な役割を果たします。

欠乏症と中毒、食材について

ここでは、犬に必要なビタミンの欠乏症と中毒についてご紹介致します。犬の手作りご飯では、水溶性ビタミンは不足しないよう注意が必要。脂溶性ビタミンは過剰に与えて中毒症状を引き起こさないよう注意が必要です。

脂溶性ビタミンの欠乏症と中毒

脂溶性ビタミンは体に蓄積しやすいビタミンであり、犬の手作りご飯においては過剰にならないよう特に注意が必要です。

  • ビタミンA(豚や鶏のレバー、卵など)
    犬の手作りご飯においては、ニンジンやカボチャなどのβカロテン(植物に多く含まれているビタミンAの前駆体)に関しても注意が必要。βカロテンに関しては、体内への吸収率が悪いことからビタミンA効果がレチノールより低いと考えられていますが、過剰に継続的に与えないようにしましょう。
  • ビタミンD(魚類や卵など)
    ビタミンD(カルシフェロール)が大幅に犬の体内で欠乏すると、骨軟化症の原因になることがあります。その他、成長途中の犬に関してはくる病発症リスクを高める原因にもなります。中毒症状としては、過カルシウム血症(高カルシウム血症)や腎障害の原因になることがあります。
  • ビタミンE(ナッツや魚介類など)
    ビタミンE(トコフェロール)は、脂溶性ビタミンであっても過剰になりにくいのが特徴。大幅に不足した場合は、皮膚や被毛の劣化、骨格筋変性などの原因になることがあります。
  • ビタミンK(パセリやほうれん草、紫蘇など)
    ビタミンK(フィロキノン)が過剰になると、犬においては中毒症状によって貧血症状や高ビリルビン血症などを引き起こすことがあります。また、健康体の犬でビタミンKが不足するケースは殆どないものの、何かしらの事情で大幅に不足した場合は血液の凝固時間が延びる危険性があります。

水溶性ビタミンの欠乏症

水溶性ビタミンに関しては、コリン以外は全てにおいて中毒症状(過剰症)は引き起こされにくいと考えられています。犬の手作りご飯をつくるときは、これらビタミンの欠乏症に特に注意しましょう。

  • ビタミンB1(豚肉やレバー肉、豆類など)
    ビタミンB1(チアミン)は、犬の手作りご飯を中心に食事からの摂取不足によって欠乏症が生じやすいのが特徴。不足した場合、成長時の発達障害や神経障害が引き起こされる可能性があります。
  • ビタミンB2(魚介類や肉類、卵など)
    ビタミンB2(リボフラビン)は、犬において欠乏症が引き起こされにくいとされていますが、不足した場合には欠乏症として食欲低下や体重減少、皮膚炎などがみられることがあります。また、過剰に与えて中毒症状を引き起こすことは考えにくいといわれています。
  • ビタミンB3(舞茸や椎茸などのキノコ類)
    ビタミンB3(ナイアシン)は、ビタミンの中では安定性が高く、欠乏症や中毒症状が引き起こされにくいのが特徴。しかし、継続的に大幅に不足した場合は下痢や皮膚炎などが生じる可能性があります。
  • ビタミンB6(マグロやカツオなど)
    ビタミンB6(ピリドキシン)は、犬において中毒となる可能性は殆どないといわれています。体内で大幅に不足した場合は、貧血や成長不良、食欲不振などが生じるケースがあります。
  • ビタミンB9(緑黄色野菜やレバーなど)
    犬の体内でビタミンB9(葉酸)が大幅に不足した場合、貧血や成長不良の原因になることがあります。中毒症状に関しては、非常に起こりにくいと考えられています。
  • ビタミンB12(魚介類や肉類、卵など)
    ビタミンB12(コバラミン)が不足した場合、神経障害や食欲不振、貧血などの症状を引き起こすことがあります。犬の食事で中毒になるケースは非常に少ないといわれています。
  • パントテン酸(レバーや納豆など)
    犬の体内でパントテン酸が大幅に不足すると、成長遅延や脂肪肝(脂肪が肝臓部に蓄積する病気)を生じる危険性があります。
  • ビオチン(レバーや卵など)
    ビオチンが不足すると、食欲低下や過尿症(過度な尿意を主症状とする病気)、角化症や脱毛症状を引き起こす危険性があります。
  • コリン(卵や豚レバー、納豆など)
    コリンが犬の体内で過剰になると、下痢症状を引き起こすことがあります。また、大幅に不足した場合は脂肪肝(脂肪が肝臓部分に蓄積する病気)や嘔吐、成長遅延などの原因になります。
  • ビタミンC(ブロッコリーやピーマン、キウイフルーツなど)
    ビタミンC(アスコルビン酸)に関しては、中毒(過剰症)と不足(欠乏症)は犬において引き起こされにくいといわれています。

実は危険な犬の手作りご飯

今回は、犬の手作りご飯に役立つ栄養学、ビタミンについてご紹介致しました。愛犬に手作りご飯をつくる上で全ての栄養素において欠乏症や中毒の内容を暗記する必要はありませんが、1つ1つの栄養素全てに意味があるのだということを理解しておかなければいけません。

犬の手作りご飯レシピをインターネット上で多く見かけますが、栄養バランスを考慮すると大変危険なレシピも数多くあります。手作りご飯がしっかりとバランスの良い食事になっているか都度見直すことが大切です。

なお、犬の食事に関しての基礎知識については事前に【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。その他、5大栄養素については【犬の管理栄養学】で紹介しています。



参考文献:
・(獣医師)藤本愛彦,犬の管理栄養士,一般社団法人全日本動物専門教育協会,2018.
・奈良なぎさ,犬と猫の栄養学,緑書房,2016.
・阿部又信,動物看護のための小動物栄養学,株式会社ファームプレス,2008.

記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし、BOWWOW Info.情報配信サイトを開設。犬の管理栄養士、救命士、介護士など、多数資格を保有。様々な企業のドッグフード開発コンサルティングや配合設計などを行う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.

犬に必要な微量ミネラルと食材〔犬の管理栄養士解説〕

目次:
1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒
2、犬に必要なミネラルとは?
3、微量ミネラルの体内での働き
4、微量ミネラルの欠乏症&中毒や食材
5、実は危険な犬の手作りご飯

愛犬に手作りご飯を作る方が増えてきましたが、作るときは犬に必要な栄養素について配慮して食材選びをする必要があります。今回は、犬の手作りご飯に必要な必須栄養素「ミネラル」とその食材についてご紹介致します。

なお、ここではミネラルの種類や脂肪の欠乏・過剰によって起こりうる問題、食材を中心に紹介致しますので、犬の手作りご飯の栄養素配分の基本については【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。
その他の5大栄養素に関しては、【犬の食事管理ページ】で解説しています。


1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒

犬に必要な栄養素は、「たんぱく質」、「脂肪」、「炭水化物」、「ビタミン」、「ミネラル」の5大栄養素であり、これらに「水」を加えて6大栄養素と呼ぶこともあります。

手作りご飯やドッグフードでは、これら必要栄養素がある程度犬の体に適したバランスで配合されている必要があり、特定の栄養素が極端に不足すると欠乏症として体に何かしらの症状が引き起こされる可能性があります。

また、特定の栄養素が極端に過剰に含まれる食事によって、中毒症状が引き起こされることもあります。そのため、愛犬の健康維持のために作る手作りご飯では、必要栄養素や食材に関する基礎知識が最低限必要になります。

愛犬にも品質の高い食事を、と愛情を込めて作った手作りご飯のせいで愛犬の体調が悪くなるのでは意味がありませんので、基礎知識はしっかりと身につけておきましょう。


2、犬に必要なミネラルとは?

ミネラルは、食物内に存在する無機質(酸素や炭素、水素、窒素以外の物質)であり、犬の体の約4~5%がミネラルです。ミネラルの種類に関しては、全体で40種類程度あるものの、犬の場合はそのうちの18種類以上が必須栄養素とされています。

※必須栄養素=食物(食事)から摂取する必要がある栄養素

2-1、犬が食事から摂取する必要があるミネラル

犬が食事から摂取する必要があるミネラルは大きく分けて、「主要ミネラル」と「微量ミネラル」に分類され、18種類以上が食事からの摂取で必要とされます。特に微量ミネラルは犬にとって必要不可欠な栄養素となるので、手作りご飯やトッピングご飯を作るときは念頭に置いておきましょう。

  • 主要ミネラル(7種類)
    ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、イオウ、塩素
  • 微量ミネラル(11種類)
    鉄、亜鉛、ヨウ素、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロム、ホウ素、フッ素

3、微量ミネラルの体内での働き

ここでは、微量ミネラル(ホウ素とフッ素は除く)の働きについて一例をご紹介致します。主要ミネラルについては、【犬の手作りご飯|主要ミネラルと食材】をご確認ください。


  • 鉄(Fe)は、ヘモグロビンやミオグロビンを構成するための成分となっており、酸素を輸送するためにも必要不可欠です。
  • 亜鉛
    亜鉛(Zn)は、皮膚や被毛の健康維持に重要な栄養素で、様々な酸素の構成成分でもあります。その他、たんぱく質代謝機能に関与するなどの働きをもちます。
  • ヨウ素
    ヨウ素(I)は、主に甲状腺ホルモン(犬の体の代謝を活性化するためのホルモン)を合成するために必要な栄養素です。

  • 銅(Cu)は、ヘモグロビンの合成や鉄の代謝に必要な栄養素で、コラーゲンやATP(アデノシン三リン酸)の合成にも必要となります。
  • セレン
    セレン(Se)は、活性酸素の1種(過酸化水素)を解毒するための酵素に含まれており、抗酸化作用に関与している栄養素です。
  • マンガン
    マンガン(Mn)は、犬の体内でコンドロイチン硫酸(主に軟骨形成成分)を合成するために必要な酵素成分として働きます。
  • コバルト
    コバルト(Co)は、ビタミンB12(コバラミン)の構成成分として働きます。なお、ビタミンB12に関しては、犬の赤血球の産生などに関与する栄養素です。
  • モリブデン
    モリブデン(Mo)は、新しい細胞の生まれ変わりに必要な「核酸」の代謝に関与する酵素を作り出す成分です。
  • クロム
    クロム(Cr)は、血糖を下げる働きのあるホルモンである「インスリン」機能や糖の代謝に関与する栄養素です。

4、微量ミネラルの欠乏症&中毒や食材

ここでは、犬に必要な微量ミネラルの欠乏症と中毒についてご紹介致しますが、微量ミネラルのうち、セレン、モリブデン、クロム、ホウ素、フッ素は、中毒症状に注意が必要なため、犬の手作りご飯においては要求量を大幅に超えないよう食材選びに配慮しましょう。

  • (ほうれん草、木綿豆腐、卵など)
    市販のドッグフードには、一般的に必要量を大幅に超える鉄が含まれていますが、過剰な鉄の摂取は食欲不振を生じさせたりリンの利用性を低下させる原因になるといわれています。犬の手作りご飯などで不足した場合、貧血や呼吸の障害、組織上の低酸素状態などが起こることがあります。
  • 亜鉛(豚レバーや牛肉、卵など)
    亜鉛を過剰に与えると、中毒症状として犬の体内のカルシウムや銅の不足を招く危険性があります。不足した場合は、皮膚障害によって角化症や脱毛が引き起こされたり発育障害、食欲不振などが生じることがあります。
  • ヨウ素(ワカメやヒジキなど)
    甲状腺ホルモンの構成要素としての要素が犬の体内で不足すると、甲状腺機能障害を引き起こす危険性が増します。また、過剰に与えた場合は、中毒症状として食欲不振などの原因になります。
  • (牛レバー、豚レバー、ひきわり納豆など)
    銅が犬の体内で長期的に不足すると、貧血症状や成長障害、骨格異常などの原因になります。また、過剰に与えて中毒となった場合、肝炎や肝壊死を招くことがあります。
  • セレン(マグロや干しエビ、タラなど)
    犬の場合、自然発生としてのセレン不足は起こりにくいものの、不足した場合は食欲低下などの原因になります。また、過剰に体内に存在したときの中毒症状としては、嘔吐や痙攣、呼吸困難などが引き起こされやすいので、要求量を大幅に超えないよう配慮が必要です。
  • マンガン(シソやモロヘイヤ、パセリなど)
    軟骨形成に必要な酵素成分であるマンガンが犬の体内で不足すると、繁殖障害や成長不良の原因になります。また、過剰になり中毒症状が引き起こされることはごく稀です。
  • コバルト(魚介類やレバーを中心とした肉類など)
    コバルトは犬においての要求量がごく微量なため、過剰に与えすぎないよう注意が必要。万が一不足した場合は貧血症状を引き起こすことがありますが、何より犬の手作りご飯においては要求量を大幅に超えないよう注意が必要です。
  • モリブデン(穀類や木綿豆類、豚レバーなど)
    モリブデンが犬の体内で大幅に不足すると、成長障害を引き起こす危険性がありますが、欠乏症より中毒症状の方が生じやすいといわれているため、犬の手作りご飯においては多く与えすぎないよう注意が必要です。
  • クロム(ジャガイモやヒジキなど)
    犬の体内で大幅に不足すると、繁殖障害や成長障害を引き起こす危険性があり、その他、耐糖能低下(血糖値が高くなったときに正常値まで下げる能力が低下した状態)を引き起こす原因になります。

5、実は危険な犬の手作りご飯

今回は、犬の手作りご飯に役立つ栄養学、微量ミネラルについてご紹介致しました。愛犬に手作りご飯をつくる上で全ての栄養素において欠乏症や中毒の内容を暗記する必要はありませんが、1つ1つの栄養素全てに意味があるのだということを理解しておかなければいけません。

犬の手作りご飯レシピをインターネット上で多く見かけますが、栄養バランスを考慮すると大変危険なレシピも数多くあります。手作りご飯がしっかりとバランスの良い食事になっているか都度見直すことが大切です。

なお、5大栄養素の基礎知識については事前に【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。その他、5大栄養素については【犬の管理栄養学】で紹介しています。


参考文献:
・(獣医師)藤本愛彦,犬の管理栄養士,一般社団法人全日本動物専門教育協会,2018.
・奈良なぎさ,犬と猫の栄養学,緑書房,2016.
・阿部又信,動物看護のための小動物栄養学,株式会社ファームプレス,2008.
・左向敏紀,獣医師教育モデル・コアカリキュラム準拠,株式会社インターズー,2015

記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士や救命士、介護士資格など保有。他社の記事監修・作成も多数請け負う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.

犬に必要な主要ミネラルと食材〔犬の管理栄養士解説〕

目次:
1、犬に必要な栄養素の欠乏症と過剰症
2、犬に必要なミネラルとは?
3、主要ミネラルの欠乏症&中毒、食材
4、犬の手作りご飯|主要ミネラルのポイント

愛犬に手作りご飯を作る方が増えてきましたが、作るときは犬に必要な栄養素を考えながら食材選びをする必要があります。今回は、犬の手作りご飯に必要な必須栄養素「ミネラル」についてご紹介致します。

なお、ここではミネラルのうち「主要ミネラル」の種類や欠乏・過剰によって起こりうる問題を中心に解説しますので、犬の手作りご飯の栄養素配分の基礎知識については【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。個々の5大栄養素詳細に関しては、【犬の食事管理ページ】で解説しています。


1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒

犬に必要な栄養素は、「たんぱく質」、「脂肪」、「炭水化物」、「ビタミン」、「ミネラル」の5つ(5大栄養素)であり、これらに「水」を加えて6大栄養素と呼ぶこともあります。

手作りご飯やドッグフードでは、これら栄養素がある程度犬の体に適したバランスで配合されている必要があり、特定の栄養素が極端に不足すると欠乏症として体に何かしらの症状が引き起こされることがあります。

また、特定の栄養素が極端に過剰に含まれる食事によって、中毒として何かしらの症状が生じることがあります。そのため、愛犬の健康維持のために作る手作りご飯では、必要栄養素や食材に関する基礎知識が最低限必要になります。

愛犬にも質の高い食事を、と愛情を込めて作った手作りご飯のせいで愛犬の体調が悪くなるのでは意味がありませんので、基礎知識は身につけておきましょう。


2、犬に必要なミネラルとは?

ミネラルは、野菜などの食物内に存在する無機質(酸素や炭素、水素、窒素以外の物質)であり、犬の体の約4~5%がミネラルです。ミネラルの種類に関しては、全体で40種類程度あるものの、犬の場合はそのうちの18種類以上が必須栄養素とされています。

※必須栄養素=食物(食事)から摂取する必要がある栄養素

2-1、犬が食事から摂取する必要があるミネラル

犬が食事から摂取する必要があるミネラルは大きく分けて、「主要ミネラル」と「微量ミネラル」に分類され、18種類以上が食事からの摂取で必要とされます。特に、微量ミネラルは犬にとって必要不可欠な栄養素となるので、手作りご飯やトッピングご飯を作るときは念頭に置いておきましょう。

  • 主要ミネラル(7種類)
    ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム、イオウ、塩素
  • 微量ミネラル(11種類)
    鉄、亜鉛、ヨウ素、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロム、ホウ素、フッ素

2-2、主要ミネラル(7種類)犬の体内での働き一例

  • ナトリウム
    ナトリウムとクロール(塩素)は、犬の体内に存在する水分バランスや細胞外液の浸透圧維持、神経伝達や胃酸を再生するために必要不可欠な栄養素です。
  • カリウム
    カリウムは、犬の細胞内部に最も多く存在する「陽イオン」で、ナトリウム同様に体内に存在する水分バランスの維持や神経伝達に関与する栄養素です。その他、筋肉の収縮活動促進を行う上でも重要です。
  • カルシウム
    骨や歯を構成するための成分として働き、犬の体内の筋肉部分や血液、細胞に分布することで、筋肉の収縮や血液の凝固(血液を固める働き)に必要です。
  • リン
    リンは、犬の体の体液のpH(水溶液の性質を表す単位)の調節をするなど様々な役割を補う生理活性物質(ごく僅かな量で何らかの特有な作用を示す物質)です。骨や歯の構成成分、エネルギーの源ともなる栄養素ですので、不足しないよう注意しましょう。
  • マグネシウム
    マグネシウムは、300種類程度の酸素を活性化する働きを持ち、酸素反応に関与する栄養素です。その他、エネルギーの代謝や神経機能を維持するために必要とされ、骨の構成成分としても必要不可欠です。
  • イオウ
    イオウは、犬の被毛や爪などの構成に必要なたんぱく質(ケラチン)の成分として働きます。
  • 塩素
    ナトリウムとクロール(塩素)は、犬の体内に存在する水分バランスや細胞外液の浸透圧維持、神経伝達や胃酸を再生するために必要不可欠な栄養素です。

3、ミネラルの欠乏症&中毒、食材

3-1、主要ミネラル(7種類)の欠乏症と中毒(一例)

  • ナトリウム(味噌や素干しワカメなど)
    ナトリウムが不足すると、疲れやすくなったり食欲不振が引き起こされることがあります。反対に過剰になった場合は、便秘やのどの渇きを示すことがありますが、健康体の犬で新鮮な水を適切に摂取できていれば、これら症状を示すケースは少ないのが特徴です。
  • カリウム(バナナ、イモ類、肉類など)
    カリウムが極端に不足すると、食欲不振や心臓・腎臓の障害などの原因になります。その他、成長期の子犬においては成長抑制が生じる危険性があります。過剰に与えた場合は、不全麻痺などが生じることがありますが、犬においてカリウムの過剰症は引き起こされにくく、腎不全など腎臓に何かしらの問題がない場合に限り多少多めに与えても問題ないといわれています。
  • カルシウム(チーズ、ヨーグルトなど)
    極端に不足すると食欲低下や成長障害、骨折や骨の結石化抑制を招く危険性があるため、成長期の犬の場合は不足しないよう特に注意が必要。過剰に与えると他のミネラルの吸収を阻害する原因になり、食欲低下、ネフローゼ、シュウ酸カルシウム尿結石などを引き起こす危険性が高まります。
  • リン(肉や魚など、たんぱく質が多い食材)
    リンは、不足すると食欲低下や被毛の健康阻害、骨折などの原因になるとされ、過剰に与えすぎた場合は腎機能低下やストルバイト尿結石などを引き起こしやすくなります。
  • マグネシウム(魚介、藻類、穀類など)
    マグネシウムが大幅に不足すると、骨の石灰化(軟部組織にカルシウム塩が沈着すること)の現象や筋肉を弱めるなどの健康被害を及ぼす原因になります。過剰症においては、ストルバイト尿結石を引き起こすことがあります。
  • イオウ(肉や魚など、たんぱく質が多い食材)
    イオウに関しては、犬の手作りご飯において不足や過剰には特に注意しなくても良いでしょう。基本的には動物性たんぱく質をしっかりと食事で摂取していれば不足しない栄養素ですが、万が一不足した場合には被毛伸長や成長において支障をきたす可能性があります。
  • 塩素(食塩や味噌など)
    ナトリウムと塩素が不足すると、成長遅延を引き起こす危険性が高まり、逆に過剰に与えた場合は食欲不振などを引き起こすことがあります。

4、犬の手作りご飯|主要ミネラルのポイント

4-1、リンとマグネシウムの比率

総合栄養食ドッグフードであれば、リンとマグネシウムの比率は配慮されていますが、犬の手作りご飯を作る場合はリンとマグネシウムの比率を頭に入れておくと良いでしょう。

一般的にリンとマグネシウムの比率は、【1:1~1:2】程度の比率を保つことが理想とされていますが、様々な要因で犬の体内ではこの比率が乱れます。

例えば、体内のビタミンD濃度が高まると、リンとマグネシウムの比率が逆になるなどの現象が起こります。

犬の手作りご飯ではそこまでの配慮がなかなか難しいのがデメリットですが、食事で摂取させるリンとマグネシウムの比率バランスが極端に崩れないよう配慮することが大切です。

4-2、カリウムは毎日与える

カリウムに関しては多くの食材に含まれているので、犬の手作りご飯を作るときにそれほど気にしなくても良いでしょう。しかし、他のミネラルと比較すると体に蓄えづらいため毎日の食事で必ず取り入れるよう工夫することが大切。

カリウムはある程度多めに与えても、腎臓機能に障害がでていない犬であれば過剰症が引き起こされにくいので、犬の手作りご飯では不足しないよう調整しましょう。

ただし、腎不全を中心に腎臓機能に問題が生じている犬の場合、与える量に関して獣医師に相談する必要があります。腎臓に問題がある犬の場合、参考までに【犬の腎不全における食事管理】をご確認ください。


まとめ

今回は、ミネラルのうち「主要ミネラル」の働き、欠乏症や中毒について紹介させていただきました。5大栄養素の基礎知識については事前に【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。

食事管理 記事一覧はこちら


参考文献:
・(獣医師)藤本愛彦,犬の管理栄養士,一般社団法人全日本動物専門教育協会,2018.
・奈良なぎさ,犬と猫の栄養学,緑書房,2016.
・阿部又信,動物看護のための小動物栄養学,株式会社ファームプレス,2008.

記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報配信サイトを開設。犬の管理栄養士や救命士、介護士資格など保有。他社の記事監修・作成も多数請け負う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.

犬に必要な脂肪と食材〔犬の管理栄養士解説〕

目次:
1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒
2、犬の体内での脂肪の働き
3、栄養素である脂肪の種類
4、脂肪の欠乏症と中毒
5、脂肪源となる食材の選び方

愛犬に手作りご飯を作る方が増えてきましたが、作る際は犬に必要な栄養素について配慮して食材選びをする必要があります。今回は、犬の手作りご飯に必要な必須栄養素「脂肪」とその食材についてご紹介致します。

なお、ここでは脂肪の種類や脂肪の欠乏・過剰によって起こりうる問題、選び方を中心に紹介致しますので、犬の手作りご飯の栄養素配分の基本については【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。


1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒

犬に必要な栄養素は、「たんぱく質」、「脂肪」、「炭水化物」、「ビタミン」、「ミネラル」の5大栄養素であり、これらに「水」を加えて6大栄養素と呼ぶこともあります。

手作りご飯やドッグフードでは、これら必要栄養素がある程度犬の体に適したバランスで配合されている必要があり、特定の栄養素が極端に不足すると欠乏症として体に何かしらの症状が引き起こされる可能性があります。

また、特定の栄養素が極端に過剰に含まれる食事によって、中毒としての症状が引き起こされることがあります。そのため、愛犬の健康維持のために作る手作りご飯では、必要栄養素や食材に関する基礎知識が必要になります。

愛犬にも品質の高い食事を、と愛情を込めて作った手作りご飯のせいで愛犬の体調が悪くなるのでは元も子もありませんので、基礎知識はしっかりと身につけておく必要があります。

2、犬の体内での脂肪の働き

脂肪は脂質の一種である犬に必要な栄養素で、主に食材の中に含まれている脂質を脂肪と呼びます。なお、犬の体には、脂肪が10%~40%程度含まれているといわれています。

脂肪は犬のエネルギーに必要な栄養素であり、エネルギー源として考える上では、驚くことにたんぱく質や糖質の2倍以上(/1g)ものエネルギーを補うことができる栄養素です。

その他、ビタミンA、D、E、Kの脂溶性ビタミンの吸収に重要な役割を補い、犬の合成できない脂肪酸である必須脂肪酸を体に補うため、体温調整を行うため、様々な生理機能維持のためなど、多様な用途で必要とされます。

ちなみに、脂肪と脂質は厳密には異なり、脂肪が犬のエネルギー源になるのに対し、脂肪以外の脂質に関してはエネルギー源としてはそれ程効果が期待できないのが特徴です。


① 犬が肉や魚などの脂肪を食事で摂取
② これらが消化酵素リパーゼによって脂肪酸とグリセロールに分解される
③ 犬の体内の小腸部分から吸収されることで中性脂肪となる
④ 中性脂肪がリンパ管を通じて血液に運び込まれる
⑤ 犬の全身に送られて、様々な機能を果たす

3、栄養素である脂肪の種類

ここでは、犬に必要な栄養素「脂肪」に関して、動物性油脂と植物性油脂の分類、及び飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の分類についてご紹介致します。

3-1、動物性油脂と植物性油脂

手作りご飯などの犬の食事内の脂肪は「動物性油脂」と「植物性油脂」に分類されます。犬の手作りご飯でよく使用される動物性油脂肪は、鹿や馬、牛などの肉類や魚などの動物に含まれている食材の脂肪です。

植物性油脂は名前の通り植物性の食材に含まれる脂肪で、食材例としてはナッツ類など。しかし、ナッツ類などを犬の手作りご飯で使用することは殆どないので、消化吸収性を配慮して主に動物性油脂肪が使用されることになります。


3-2、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。これらは、炭素の二重結合があるか否かによって種類が分かれます。

被毛の健康維持や四肢・関節の炎症や痛み緩和などに役立つ栄養素として知られている「オメガ3脂肪酸」をご存じの方は多いかと思いますが、これは、不飽和脂肪酸の炭素の二重結合の中の2つ以上の結合があるEPAやDHAなど(多価不飽和脂肪酸)を指します。

犬の場合は、オメガ脂肪酸(3系と6系)のような2つ以上の二重結合がある脂肪酸を体内で合成することができないため、サプリメントのみならず最近では成長期の犬だけでなく成犬用・老犬用ドッグフードに添加することも多くなりました。

オメガ脂肪酸のみならず、不飽和脂肪酸全般は犬の体内で合成できないため、手作りご飯などの食事で取り入れる必要があります。

3-3、脂肪のAAFCO基準

全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフード基準(乾物量)で考えた場合、最低値として成長期で粗脂肪8.5%、維持期で5.5%。

リノール酸に関しては成長期で1.3%、維持期で1.1%になっています。なお、αリノレン酸は成長期のみ基準が設けられ0.08%、EPA+DHAも同様に成長期のみ基準が設けられており0.05%となっています。

4、脂肪の欠乏症と中毒

犬に必要な栄養素である脂肪が犬の体内で急激に欠乏した場合は、脂漏症や外耳炎、成長阻害がみられるようになり、脱毛や湿潤性皮膚炎を中心に皮膚や被毛にも悪影響を及ぼします。

犬の嗜好性を高める上で脂肪は重要な役割を補うものの、過剰になった場合は様々な病気の予備軍である肥満はもちろん、下痢を引き起こしたり肝臓や膵臓の疾患原因になりえるので注意が必要です。


5、脂肪源となる食材の選び方

犬の手作りご飯で脂肪を使用する際、主に肉や魚を使用します。ここでは、脂肪源となる食材選びに役立つ情報を紹介致します。

5-1、脂肪源食材を選ぶ時の注意点

先述で紹介した通り、エネルギー源として考えたとき、脂肪はたんぱく質や糖質の2倍以上(/1g)ものエネルギーを補うことができます。そのため、運動量の少ない犬に関しては手作りご飯での脂肪分の調整には十分注意が必要。

近年、肥満を中心に犬の生活習慣病も問題視されているので、運動量が少ない犬や老犬、肥満気味の犬などの手作りご飯では肉や魚などの食材選定に気をつけなければいけません。

日本国内で飼育されている犬に関しては、実は半数以上が肥満気味であるともいわれており、様々な病気の原因になる肥満には細心の注意が必要です。愛犬に手作りご飯をつくっている方は、是非【肥満が及ぼす病気】記事をチェックしてみてください。

しかしながら、脂肪は犬の嗜好性を高める効果があるので、痩せ気味の犬や病気や老衰によって食欲が極端に低下している犬には、少量でエネルギー源を確保できる万能栄養素となります。

5-2、脂肪で考えるおすすめ食材

比較的脂肪の少ない食材の一例
・鹿肉:脂肪が少なく低カロリー・高たんぱく。鉄分も豊富なのが特徴。
・鶏ささみや鶏胸肉:鶏肉の中では脂肪が少なめだが、タンパク質が多いのが特徴。
・猪肉:豚の原種であるものの、低カロリー・低脂肪であることが特徴。中性脂肪になりにくい特性をもっている。
・馬肉:比較的脂肪分が少なく、低カロリー・低コレステロール。部位によっても多少異なるが、牛肉と比較して約5分の1程度。馬肉にはカルニチンが含まれており、犬の体内の脂肪燃焼効果が期待できる。


まとめ

今回は、犬の手作りご飯で必要となる栄養素である「脂肪」についてご紹介致しました。犬の手作りご飯を作るときは、肉や魚のアミノ酸スコアとアルギニンの含有量、脂肪分やエネルギー量に配慮して、様々な肉や魚食材を取り入れることをおすすめします。

次回は、愛犬の栄養管理に必要な5大栄養素のうち「ビタミン」の種類や食材の選び方などご紹介させていただきますが、5大栄養素の基礎知識については事前に【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。腎臓病や悪性腫瘍など、疾患別の食事管理についても【食事管理】ページで紹介しております。


参考文献:
・(獣医師)藤本愛彦,犬の管理栄養士,一般社団法人全日本動物専門教育協会,2018.
・奈良なぎさ,犬と猫の栄養学,緑書房,2016.
・岡本羽加,手作り犬ごはんの食材帖,日東書院,2011.


記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士や救命士、介護士資格など保有。他社の記事監修・作成も多数請け負う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.

犬に必要なたんぱく質と食材〔犬の管理栄養士解説〕

目次:
1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒
2、必要栄養素 、たんぱく質とは?
3、たんぱく質の欠乏症と中毒
4、たんぱく質食材の選び方

愛犬に手作りご飯を作る方が増えてきましたが、作る際は犬に必要な栄養素について配慮して食材選びをする必要があります。今回は、犬の手作りご飯に必要な必須栄養素(たんぱく質)とその食材についてご紹介致します。

なお、ここではたんぱく質(アミノ酸)の種類やたんぱく質の欠乏・過剰によって起こりうる問題を中心に紹介致しますので、犬の手作りご飯の栄養素配分の基本については【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。


1、犬に必要な栄養素の欠乏症と中毒

犬に必要な栄養素は、「たんぱく質」、「脂肪」、「炭水化物」、「ビタミン」、「ミネラル」の5大栄養素であり、これらに「水」を加えて6大栄養素と呼ぶこともあります。

手作りご飯やドッグフードでは、これら必要栄養素がある程度犬の体に適したバランスで配合されている必要があり、特定の栄養素が極端に不足すると欠乏症として体に何かしらの症状が引き起こされる可能性があります。

また、特定の栄養素が極端に過剰に含まれる食事によって、中毒としての症状が引き起こされることがあります。そのため、愛犬の健康維持のために作る手作りご飯では、必要栄養素や食材に関する基礎知識が必要になります。

愛犬にも品質の高い食事を、と愛情を込めて作った手作りご飯のせいで愛犬の体調が悪くなるのでは元も子もありませんので、基礎知識はしっかりと身につけておく必要があります。

2、必要栄養素 、たんぱく質とは

犬の体の構成成分であるたんぱく質は、主に活動に必要なエネルギーを供給したりホルモンや免疫抗体、酵素などの素になる必要栄養素です。ここでは、たんぱく質(アミノ酸)の種類や特徴、必要性などをご紹介致します。

2-1、アミノ酸の働き

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が結合してできた化学結合で結びついた純物質です。犬の体内でたんぱく質はアミノ酸として消化吸収されたのち、動物特有のたんぱく質に再度合成されて犬の体にとって重要な栄養素として働きます。

① 犬が肉や魚、卵などのたんぱく質を食事で摂取
② 犬の消化器官を通過するとき、消化酵素の働きでアミノ酸に分解される
③ アミノ酸が犬の腸管を通過する
④ 犬の体内の様々な部位で必要なたんぱく質に再度合成される


2-2、犬の必須アミノ酸

20種類のアミノ酸のうち、犬が体内で十分な必要量を合成できず食事で摂取しなければいけないもの(=必須アミノ酸)が、以下の10種類。種類によって体内での働きが異なります。

  • アルギニン:肉などの大抵のたんぱく質食材に含まれているため、肉や魚などを手作りご飯で十分使用していれば不足することはないが、手作りご飯自体のたんぱく質割合自体が極端に少ないと、急速に欠乏症が起こりやすいので注意が必要。
    全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期でアルギニン1%以上、維持期で0.51%以上が推奨とされる。
  • ヒスチジン:ヒスチジンは代謝によってヒスタミンが生じ、様々な臓器の動きに必要な平滑筋の収縮機能や毛細血管の拡張などに必要とされる。全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期で0.44%以上、維持期で0.19%以上が推奨とされる。
  • イソロイシン:イソロイシン、ロイシン、バリンの3つ(分岐鎖アミノ酸)は、犬の筋肉のたんぱく質合成に必要不可欠な栄養素。イソロイシンに関しては、全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期で0.71%以上、維持期で0.38以上が推奨とされる。
  • ロイシン:イソロイシン、ロイシン、バリンの3つ(分岐鎖アミノ酸)は、犬の筋肉のたんぱく質合成に必要不可欠な栄養素。ロイシンに関しては、全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期1.29%以上、維持期で0.68以上が推奨とされる。
  • バリン:イソロイシン、ロイシン、バリンの3つ(分岐鎖アミノ酸)は、犬の筋肉のたんぱく質合成に必要不可欠な栄養素。バリンに関しては、全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期0.68%以上、維持期で0.49以上が推奨とされる。
  • リジン:リジンは、犬の体内のたんぱく質合成に必要不可欠なアミノ酸で、全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期0.9%以上、維持期で0.63以上が推奨される。
  • メチオニン:メチオニンは含硫アミノ酸と呼ばれる栄養素で、硫酸によって尿を酸性にする働きがある。全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期0.35%%以上、維持期で0.33以上が推奨される。
  • フェニルアラニン:フェニルアラニンは、体内で代謝された際にチラミンやドーパミンなど様々な神経伝達物質が生じる栄養素。全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期で0.83%以上、維持期で0.45%以上が推奨とされる。
  • スレオニン(トレオニン):犬が食事で摂取したたんぱく質を体内でエネルギーに変換するために必要な栄養素。その他にも新しい細胞を作ためにも必要となる。全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期で1.04%以上、維持期で0.48%以上が推奨とされる。
  • トリプトファン:トリプトファンは、犬の肝臓で代謝されることでナイアシン(ビタミンB群)を生じるなど様々な働きがあり、全米飼料検査官協会(AAFCO)のドッグフードで考えると乾物量として、成長期で0.2%以上、維持期で0.16%以上が推奨とされる。

3、たんぱく質の欠乏症と中毒

たんぱく質が犬の体内で急激に欠乏した場合、成長不良や不妊、貧血、食欲低下や体重減少がみられるようになり、脱毛を中心に被毛にも悪影響を及ぼします。

犬においてはたんぱく質が過剰になるケースは少ないものの、過剰になった場合は肥満はもちろん、腎臓や肝臓疾患の原因になりえます。既に腎臓や肝臓、ストルバイト結石などの疾患がある犬に関しては、食事中のたんぱく質が過剰にならないよう特に注意が必要です。


4、たんぱく質食材の選び方

犬の手作りご飯で使用するたんぱく質源となる食材に関しては、アミノ酸スコアを確認してから選ぶと良いでしょう。

アミノ酸スコアとは、人における必須アミノ酸バランスを配慮して100を上限として示すたんぱく質の評価基準で、質の良いたんぱく質に配慮したい場合にこの数値を基準に食材を選ぶことができます。

例えば、卵や肉で考えると以下がアミノ酸スコア100のたんぱく質材料の一例となります。アミノ酸スコアは、人の必須アミノ酸9種類を基準としているので、犬の場合はこのアミノ酸スコアに加えて、アルギニンの含有量に関しても配慮すると良いでしょう。

  • 鶏卵 アミノ酸スコア100 + アルギニン含む 
  • 鶏肉 アミノ酸スコア100 + アルギニン含む
  • 牛肉 アミノ酸スコア100 + アルギニン含む
  • 馬肉 アミノ酸スコア100 + アルギニン含む

アミノ酸スコアが高いたんぱく質源は、消化吸収率も高いといわれています。なお先述でも説明しましたが、犬において必要となるアルギニンに関しては、大抵のたんぱく質食材に含まれています。


まとめ

今回は、犬の手作りご飯で必要となる栄養素である「たんぱく質」についてご紹介致しました。犬の手作りご飯を作るときは、アミノ酸スコアとアルギニンの含有量に配慮して様々な動物性たんぱく質食材を取り入れることをおすすめします。

次回は、5大栄養素のうち「脂肪」の種類や食材の選び方などご紹介させていただきますが、5大栄養素の基礎知識については事前に【犬の手作りご飯|量や配分など】をご確認ください。腎臓病や悪性腫瘍など、疾患別の食事管理についても【食事管理】ページで紹介しております。


参考文献:
・(獣医師)藤本愛彦,犬の管理栄養士,一般社団法人全日本動物専門教育協会,2018.
・奈良なぎさ,犬と猫の栄養学,緑書房,2016.
・阿部又信,動物看護のための小動物栄養学,株式会社ファームプレス,2008.


記事作成者:  望月 紗貴

犬たちの幸せ(=飼い主の意識の向上)を目的とし情報提供サイトを開設。犬の管理栄養士や救命士、介護士資格など保有。他社の記事監修・作成も多数請け負う。

©️犬の情報配信サービス BOWWOW Info.